思想新聞 平成9年(1997年)2月15日号
Q–ポスト宮本をめぐって権力闘争が起こるのでしょうか。
A–指導者の座をめぐって争うのが権力闘争という意味ですが、共産党の場合は、これに路線闘争が加わります。ここが今後、注目されるところなのです。
Q–え、「路線闘争」って何ですか。
A–「路線」というのは、目的地に向かう道筋のことです。つまり、共産党がどのような戦略・戦術をもって政権、まずは民主連合政権で、ついで社会主義政権を樹立するかという方針を「路線」というわけです。それをめぐって対立して争うことが路線闘争です。
Q–なるほど、それで現在は宮本路線というわけですね。今まで宮本議長の独裁が続いてきたものですから、一枚岩かと思っていましたが、そうではないのですか。
A–現在の共産党中央にはその路線をめぐって微妙に違いがあるといわれています。宮本議長自身の考え方は、党員を科学的社会主義(弁証法的唯物論を軸にした共産主義思想)で武装させ、強固な革命政党をつくる。これをやらなければ、党がいくら大きくなっても烏合の衆にすぎず、何かことが起こればがすぐに瓦壊してしまう。だから、思想武装を徹底的にせよ、というのが宮本議長の考え方なのです。
Q–それが宮本議長がいうところの「社会発展の法則」というわけですね。
A–そうです。昨年7月に開かれた中央委員会総会(五中総)に宮本議長は病身を顧みずに出席し、冒頭に挨拶しました。そこで強調したのが「社会発展の法則」です。また、わざわざ閉会の挨拶にも立ち、「科学的社会主義の本流は弁証法的唯物論だ」とぶっています。思想武装について、よほど感じるところがあるのでしょう。つまり、現在の共産党に思想面の弱さを見出しているのでしょう。
Q–とすると、この宮本議長の考えと微妙に違う考え方が党内にはあるということなのですか。
A–そういうことになります。これは、思想武装などとかたいことを言っておれば、党の裾野はこれ以上広がらない。広がらなければ、支持率一割前後の批判政党に終わってしまうし、政界の中でも孤立状況が克服できず、民主連合政権すらつくれなくなってしまう。ましてや社会主義政権などは夢のまた夢になる、という考え方です。いわば、大衆政党論ということになりますね。

Q–誰がいったいこんな考えを持っているのですか。
A–不破哲三委員長と上田耕一郎副委員長の兄弟を中心とした、いわば不破グループです。もともとこの考えを強固に持っているのは上田副委員長といわれます。兄の考えに同調しているのが弟の不破委員長という構図です。かつて不破委員長は大衆政党論を背景に「党改革意見書」を提出し、宮本議長の逆鱗に触れたことがあります。このときは不破委員長は心臓病で代々木病院に入院しましたので、病気交替という形で村上弘委員長が就任しました。実際は路線闘争だったわけです。その後、不破委員長が宮本議長に屈服し、返り咲いたわけです。
Q–宮本議長の衰えと反比例して、この路線闘争が再燃してくるわけですね。


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