国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

日朝首脳会談に対する見解

本連合本部事務局

1、現在の国際情勢は1990~91年の国際情勢と酷似している。すなわちイラク攻撃が始まろうとしており、イラク問題が片づけば次は北朝鮮であるとの国際世論が高まっている。ブッシュ現政権はイラクとイラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と規定しており、対北朝鮮政策は91年段階よりも厳しくなっている。

2、イラクと北朝鮮は違う、もし戦争がはじまれば韓国、日本が戦場になることが避けがたく、想像に絶する犠牲者が出る。したがって北東アジアの平和のために北朝鮮を変えねばならない、というのが91年11月に北朝鮮を訪問した世界平和連合・文鮮明総裁の決死的覚悟であり、基本的立場である。

3、小泉首相の訪朝は北朝鮮を国際的孤立から引き出し、北朝鮮を変化あらしめ北東アジアの平和と安全を確立しようとの動機で行われているもので、したがって訪朝は高く評価できる。

4、文鮮明総裁は神主義を訴え(妥協なき対話)、その結果、金日成主席と4項目合意を行った。その第一は人道問題で南北離散家族交流の推進、第二は安全保障で核エネルギーの平和利用および国際核査察の受け入れ、第三は経済問題で軍需産業を除外した経済援助、そして第四は南北統一問題で南北首脳会談の開催である。これを今日の日朝交渉に適応すれば、小泉首相は妥協なき対話の姿勢が重要であり、人道問題の解決(拉致問題)、核・ミサイル・不審船等の安全保障の確保、安全保障を前提とする経済援助、そして南北統一を支援するということになる。

5、日朝平壌宣言は概ね以上の四つの課題に向けて前進していると言える。すなわち拉致問題はあまりにも悲惨な結果が明らかになったが、金総書記は拉致の事実を認め謝罪し生存者の帰還を約束している。死亡確認、他の拉致疑惑の解明などの課題は今後の日朝国交交渉で解決すべきである。
 第二の安全保障問題は「日本国民の生命と安全に関わる懸案が今後生じないよう、北朝鮮は適切に措置する」と言明し、核問題では国際的合意を順守し、ミサイル発射の凍結を03年以降も延長するとした。これらが確約されるかは米朝交渉の進展などを直視しなければならない。
 第三の経済援助問題では日本は国交正常化後に北朝鮮に経済援助を行うことを宣言した。日朝国交は安全保障の確保、北朝鮮の約束履行が前提であるので、日本の援助が軍需産業に振り向けられないという前提にもなることを留意すべきである。
 第四の南北統一問題はとくに宣言には触れておらず、この点は国交後の経済援助が日韓米との連携のうえで南北統一の方向性を明確にもって行われるべきである。

6、日朝平壌宣言に拉致および謝罪が明記されていないのは遺憾であり、今後、政府は拉致問題の究明・解決(その他の拉致疑惑等も)を日朝交渉で詰めていく責任がある。

7、同時に日本政府は「拉致」を許してしまった国家体制不備の責任を痛感すべきである。本連合は拉致が発覚する以前の78年にスパイ防止法制定運動を起こし、以来、スパイ防止法制定を求めてきた。「スパイ天国」の汚名を返上しないかぎり拉致をはじめとする対日工作を許すことになるからである。にもかかわらず政府は未だスパイ防止法を制定していないばかりか、有事法整備も怠っている。共産党や社民党、および一部マスコミが、対日工作を許さない体制整備に激しく反対しておきながら、今になって北朝鮮の蛮行を非難する態度に強い憤りを感ずる。また、一部政党や政治家が日朝交渉再開で日本を取り巻く脅威がなくなり有事立法の必要性がなくなったと主張しているが、おろかな意見である。これこそ「拉致」を容認する姿勢にほかならない。政府は拉致事件の「痛恨の極み」を忘れることなく、その再発を断固として許さないように有事法整備およびスパイ防止法を次期国会で制定すべきであり、新たな脅威としての国際テロリストの蛮行に対する対応を怠ってはならない。

8、日朝国交は北朝鮮への莫大な経済援助の開始を意味しており、したがって北東アジアの安全保障の確保が国交樹立の大前提となることを銘記すべきである。日朝国交樹立には、次の諸課題の克服が必要であることを強調したい。拉致問題の完全解決が図られること(家族の心情的解放)、日韓米三国の緊密な連携、米朝交渉の進展および国際的合意の確保(核査察、ミサイル開発中止など)、有事法整備およびスパイ防止法制定を行い盤石たる安保体制の確保などである。以上の諸点が日朝国交樹立のハードルであると我々は考える。

 以上、小泉首相の訪朝は高く評価できる。日朝平壌宣言についてはそれが履行されるかどうかによって評価が決定されるべき性質のものである。評価は前記の前提を満たすことができるか否かにかかっている。したがって今後の日朝交渉を我々は厳しく見守っていかねばならない。

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