国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 最新の主張はこちらから

「イスラム国」日本人拘束事件

この記事は2015年1月27日に投稿されました

安倍政権批判は的外れだ

イスラム過激派組織の「イスラム国」に拘束された日本人2人のうち、1人が殺害されたという。安倍総理は遺体の写真を含む映像について「信憑性が高い」と述べた。もう一人の拘束されている日本人については、ヨルダンに収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放との交換を条件に解放するという。危険な地域に自ら乗り込んだ日本人の自己責任も当然問われるが、「イスラム国」の卑劣さには目に余るものがある。
 2人の日本人の解放のために「イスラム国」は当初、2億ドルという巨額の身代金を提示した。フランス人などの人質の解放には一人あたり600万ドル程度が支払われたといわれ、今回はその数十倍にもなる。国連の報告によれば、昨年一年間で「イスラム国」が得た身代金の総額は53億円で、その約4倍だ。あまりの高額さから考えると、本当に身代金目当てだったのかどうかはわからない。
 2億ドルは安倍総理が中東歴訪時にエジプトの首都カイロで明言した人道支援と同じ金額でもある。おそらく「イスラム国」はあえて同じ金額を示し、世界に存在感を誇示したかったのだろう。「イスラム国に逆らえば危険だ」というイメージが世界中に広まれば、今後も人質交渉で優位に立てるし、賛同者も増えるからだ。
 そもそも拘束された日本人2人は、「イスラム国」側がある目的のもとに誘拐したのではない。自ら危険地帯に飛び込み、そして拘束された。だから「イスラム国」側としては、それをどう活用するかはいくらでも考えられる。法外な金額を示して万一日本が支払えば巨額な資金になるし、それがだめなら他の要求をすればよい。日本の出方を探りながら最大の効果を得ようとしているのだ。
 いずれにせよ「イスラム国」にルールや常識は通用しない。そんな難しい交渉に日本政府は直面している。無事に人質が解放されることを願うが、テロとの闘いに屈すればさらに被害は拡大する。交渉は困難を極めている。

筋違いな安倍政権批判

そんな中、この事件の原因を安倍政権の積極的平和主義に求める極めて筋違いな報道がいくつか見られた。これまで日本は中東諸国から平和国家として認識されていたが、「積極的平和主義」などの政策が米国寄りと受け取られ、敵意を持たせてしまったというのだ。五十嵐仁氏(元法政大学大原社会問題研究所教授・所長)は自身のブログで、「安倍首相の『積極的平和主義』が引き起こした日本人人質への殺人予告」と題した論文を発表している。
 これは極めて筋違いだ。安倍政権が掲げる積極的平和主義は、特に中東においては米国とともに戦争に参加するというものではない。集団的自衛権の行使容認で議論されているのも、中東ではホルムズ海峡における機雷除去などに限られる。安倍総理がカイロで提示した2億ドルも人道支援だ。グローバル化する世界において、自国のみで安全を確保することはできなくなっている。一国平和主義を超えて世界の平和と安全のために積極的に役割を果たそうとしているのである。
 五十嵐氏は同じブログで、日本が積極的平和主義で「アメリカ寄りの姿勢を明確にした」というが、その批判は的外れである。
 そもそも「イスラム国」の拡張は、米国が「世界の警察」としての役割を十分に果たせていないことにも原因がある。不安定化する国際社会において、せめてアジアの安全保障に対しては日本が経済規模に見合った役割を積極的に果たしていくというのは当然だ。
 繰り返しになるが「イスラム国」の暴挙は安倍政権の積極的平和主義が引き起こしたのではない。「イスラム国」の卑劣さ、そして国際社会における安全保障体制が弱体化していることにある。それを克服するためにも、安倍政権には積極的平和主義をさらに充実してもらいたい。

2015年1月27日

コメント

タイトルとURLをコピーしました