この記事は2013年4月8日に投稿されました。
北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ムスダン」を日本海側の発射場に移動したことを受け、小野寺五典防衛相は7日、破壊措置命令を発令した。
破壊措置命令とは、弾道ミサイルなどが日本の領土・領海に飛来する恐れがある場合に、防衛相が自衛隊に破壊するよう発する命令である。初めての発令は平成21年3月で、今回で4回目の発令になるが、いずれも北朝鮮の弾道ミサイルに対して発せられた命令である。
実は今回の発令は、これまでの発令と大きく異なる点が一つある。それは、破壊措置命令が国民へ公表されず、秘密裏に発令されたということだ。
破壊措置命令が公式に発表されれば、発令期間が明らかになる。しかしそれは同時に「発令していない期間」をも明かすことになる。そうすれば、迎撃態勢が手薄なその期間を狙って北朝鮮が弾道ミサイルを発射するという事態も起こりうるだろう。このように自衛隊の作戦行動は相手側に手の内をあかさないようにするために非公表となるのが原則であり、今回のケースもこれに該当したのだ。
それでは、これまでの過去3回の破壊措置命令が公表されたのはなぜかというと、それは北朝鮮が事前に発射期間や飛行コースを予告していたからである。逆に言えば、今回はまだ北朝鮮によるミサイル発射の事前通告がない中で、「予告なしに発射される」ことを想定しての発令だったということだ。これは政府が、北朝鮮側のあらゆる可能性を想定したうえでの実践的な措置であり、毅然とした態度として評価できるだろう。
菅義偉官房長官は7日夜の民放の番組で「政府はあらゆる可能性に備えることが大事」であり「万全の態勢で臨んでいる」と述べたが、まさにこの発言が言葉だけではなかったと言える。
金第一書記の「暴走」に備えよ
それにしても、北朝鮮がこれほど短期間に挑発を強めたことは過去にはなかったことだ。この背景には、金第1書記に助言をする側近らの人事バランスが崩れたことがある。
金正日総書記は亡くなる前、党や軍での経験がなく若い金正恩に重厚な側近陣を引き継がせた。その筆頭が金総書記の妹の金敬姫であり、さらにその夫の張成沢だ。また、張成沢に近い崔竜海も次帥に大抜擢された。
しかし最近の北朝鮮の意思決定には、彼ら側近の姿が見えてこない。また、昨年には軍のトップである李英浩氏ら、金総書記時代からの軍側近の大半は人事改編で姿を消してしまった。
そしてこの間、急に存在感を増したのが金英徹偵察総局長だ。金氏は2010年の哨戒艦撃沈など、「2009年以降のほとんどの挑発行為を企画・実行した」とされる強硬派である。
それではなぜ、軍の強硬派の発言力が増しているのだろうか。
若くて経験が不足する金第一書記に対しては、軍部においても国民の間でも忠誠心が高まらない。これを巻き返すために金第一書記は、自らあえて危機を作り出した。そして、その危機の中でも堂々と軍を統率している姿を軍や国民に繰り返し示すことにより、自らの存在感を高めたかったのだ。また、挑発を強めることでもし米国との直接交渉が可能になれば、金第一書記の存在感は格段に上がることになる。
こうした金第一書記の感情を、金氏ら軍の強硬派はうまく利用しているのだ。今やすでに金第一書記が軍部の操り人形のようになってしまっている可能性もあり、軍部から入れ知恵された金第一書記の強硬策に異論をはさめる者はだれもいないのである
政府は、北の暴発に十分に備える必要がある
菅官房長官は4日の記者会見で、「米韓両国と緊密に連携をとりながら最悪の事態でも国民の安全を防衛できる態勢で取り組んでいる。日米韓の連携のもとで(北朝鮮の)動きは全て掌握している」と強調した。
今後は日韓の連携をさらに深めるための日韓防衛協定の締結、そして日米同盟強化のための集団的自衛権の行使に向けて具体的に取り組むべきだ。これらが実現すれば、東アジアの安全保障が大きく向上することは間違いない。
2013年4月8日


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