この記事は2013年2月19日に投稿されました。
北朝鮮が核実験を行い、さらなる核実験やミサイル発射実験を示唆している。国際社会からの孤立を十分に承知しながらも、このような暴挙に打って出る背景には、北朝鮮内部における金正恩体制の危機的状況がある。
金正恩体制になってから、北朝鮮では多くの経済改革が行われた。改革を主導した張成沢は中国よりの人物で、中国式の改革開放政策を取り入れようとした。しかし北朝鮮では、経済活動の多くを軍部が握っている。当然張氏の経済改革は軍部の既得権と対立することになった。
しかし、反発する軍の幹部を解任させるなどの強硬手段を用いながら推し進めた経済改革は、結局はうまくいかなかった。地方では多くの餓死者が生じ、不満が噴出している。「社会統制システムは、ピョンヤンを除いて崩壊している」という分析もある。
軍部の中にも市民の中にも不満が噴出し、若い金正恩は早々に行き詰ってしまった。
そして彼は自らの権力基盤を守るために、対外的な危機状況を作りだした。軍部を納得させ、国民に緊張状態を強いる道を選んだのだ。先代の威光を持ち出し、国際社会の顰蹙を買いつつも三度目の核実験という暴挙に出たのだった。
日本には報復攻撃力が必要だ
北朝鮮が核実験を行った12日、安倍総理は敵基地への攻撃や、そのための必要な装備をもつことについて、「憲法上は許される。国民の生命、財産を守るために何をすべきか、常にさまざまな検討を行うべきだ」と述べた。
北朝鮮は昨年末にミサイル発射実験に成功し、今回の核実験では核爆弾の小型化に成功したという。今後北が技術力をさらに向上させれば、核を搭載した中距離弾道ミサイル「ノドン」を日本に打ち込むという可能性も十分に考えられる。
しかし現在の日本の防衛戦略の柱は専守防衛である。相手国には決して先制攻撃を行わず、相手の攻撃を受けてから初めて軍事力を行使するというのだ。しかもその際にも、軍事力の行使は自衛のための必要最低限の範囲にとどめなければならない。すなわち相手国の根拠地への攻撃は行わない、軍事作戦は自国領土またはその周辺でのみ行うというのである。
そのため自衛隊は、敵基地を攻撃する能力を持つことができない。敵基地まで往復できる戦闘機や長距離巡航ミサイルなどを保有していないのだ。これらの報復攻撃能力は現在、米軍にゆだねられている。
もし北が核ミサイルを東京に打ち込めば、自衛隊がその後いくら反撃しても、東京はすでに火の海になっている。これでは防衛力としては意味をなしていない。
また周辺国がどれだけ日本を攻撃しても、日本が本国を攻撃することは絶対にないのだから、抑止効果はほぼ機能していないといっていい。防衛力をもつことの意義の大半は、戦争を未然に防ぐ抑止力を高めることにあるが、現在の日本の防衛戦略はこれを自ら打ち消してしまっているのである。
邦人の保護・救出を可能にせよ
今後もし北が暴発すれば、100万単位の武装難民が発生することになる。そのほとんどは陸続きの韓国、中国、ロシアに押し寄せることになるが、日本にも小舟などで数万の難民が押し寄せることになるだろう。現在の海保や海自の規模では、これだけの武装難民を処理することは不可能である。
さらに、韓国と中国に武装難民が押し寄せて混乱が起きれば、現地に滞在している邦人をいかに救出するかという問題が生じることになる。アルジェリア人質事件の際に述べたように、現在の自衛隊法には多くの問題があり、邦人の救出は容易ではないのだ。
イラン・イラク戦争で邦人救出が必要となった際、自衛隊機は「現地の安全が確保されていない」という理由で派遣されなかった。安全が確保されていないからこその自衛隊の出動のはずなのに、「自衛隊は軍隊ではない」という理由で飛ばせないのだ。実際その時に自衛隊の代わりに邦人保護のための救援機を飛ばしたのはトルコ航空だった。
また、他国から日本に、自国民の救助を依頼されることも十分に考えられる。2010年の延坪島砲撃事件の際には、フィリピン政府が在韓フィリピン人5万人の日本への緊急避難とその移送を打診した。日本は世界有数の経済大国であり、強力な軍事力を有していると見られているのだから、このような要請が各国からなされるのは当然である。
危険な地域に救助を目的として自衛隊を派遣するのであれば、当然武器使用も許可されるべきだ。危険に遭遇した途端、何もできずに帰国してしまうようでは、日本は世界の笑いものとなってしまうだろう。
北の有事・暴発の可能性は高まっている。国民をしっかりと守る体制、そして世界各国の国民をも守る体制を政府は早急に整えるべきだ。
2013年2月19日


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