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File-55 「天賦」という言葉の真意

「自己決定」は秩序破壊するだけの

思想新聞2002年5月1日 共産主義は間違っている!!

摩訶不思議な「人権真理教」国・ニッポン 9

論理的道具立て

権利は祖先からの相続財産

Q 近きよりむしろ遠きを愛すという隣人愛ならぬ「遠人愛」の思想ですか。幼児虐待などをはじめとしたドメスティック・バイオレンス(DV=家庭内暴力)や介護の問題など、ちまたでは確かに「近きを愛すること」の難しさがいや増している世知辛いご時世ですね。

 そうした状況でますます様々な「バーチャル産業」が、栄えていくことになります。
「遠人愛」を説いたニーチェの言動は非常に逆説的なのですが、そこには鋭い本質的な洞察があるのです。先に述べたファシズム・ナチズム・スターリニズムという全体主義は、いまや明らかに「社会悪」として認識されています。共産主義者の信奉する思想も、そうしたものに連なる危険性を持つこともお話しました。ところが、ここで厄介になってくるのが、それが危険とはわからない、得体の知れないものです。この得体の知れない「思想」「空気」に、「人権」や「民主主義」というものがあるのではないかと思います。
 ではどうしてこれらが、特に近代以降の社会思想において、スタンダードとなり得たのか、また、それがどうして「得体の知れなさ」をもっているのか。こうした点について言及してみたいと思います。それは、戦後の日本が抱えてきた国家的課題と解決への糸口ももちろん、おのずと示唆されると思われます。
 それを解くカギは、近代市民革命期のイギリスとフランスだと言えます。フランス革命についてはこれまでたびたび触れてきましたが、いま特に強調したいのは、イギリスの保守思想の源流についてです。
 イギリスは確かに7つの海にユニオンジャックをはためかせ大英帝国を築き上げました。そこには、帝国主義的植民地統治の名残が、今の中東紛争や印パ紛争の種を蒔いたとも言えるような「影」の部分も確かにあります。しかし、それを差し引いても、ことに社会思想においては学ぶべき内容があると言えます。

エドマンド・バーク

 その象徴的人物こそ、西部邁・秀明大教授や八木秀次・高崎経済大助教授ら保守論客の評価するエドマンド・バーク(1729-97)であると言えます。〈「人権」について語られるとき、必ず触れられるのはフランス革命時の「人権宣言」(1789)である。この「人権宣言」は正式名称を「人および市民の権利宣言」と言うが、実はここで初めて「『人』の権利」「『人間』の権利」ということが打ち出されるに至ったのである。
「人権宣言」が何ゆえに「『人間』の権利」ということを言い出したのか、また「『人間』の権利」とは何なのかということを考えるに当たって、フランス革命直後に交わされたイギリスの保守主義思想家エドマンド・バークと、その著『コモンセンス』(一七七六)がアメリカ独立の起爆剤となり、フランス革命をも熱烈に支持したトマス・ペインとの間の論争は示唆に富んでいる。
 バークは、「人権」「『人間』の権利」に異を唱えた。それは「人権」「『人間』の権利」が過去を否定し、歴史と決別するというイデオロギーを有しているからである。
「人権宣言」が言う「人間」とは歴史と断絶し、祖先を持たない抽象的な存在である。そういう存在の持つ権利を「人権」「『人間』の権利」と呼ぶのである。
 しかし、バークに言わせれば、イギリスはそのような考えには立脚しなかった。イギリスでは人々の自由や権利を「『人間』の権利」として主張するのではなく、「祖先から引き継いだ相続財産」と理解してきた。〉(『反「人権」宣言』)
 八木秀次氏がこう指摘しているように、先回話した内容と併せるとバークの言わんとするところがわかるでしょう。

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