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保守派論客間の闘いに仁義はあるか?

【思想新聞2002年3月1日】マスコミ論壇ウオッチング

 第二次世界大戦後、地球的規模で戦われていた「冷戦」という名の「第三次世界大戦」は、1991年のソ連邦崩壊をもって大方終結し、東アジアにわずかに大陸中国と台湾の中華民国及び韓半島の南北分断を残すのみとなった。

 ところで、冷戦の終結はわが国の論壇にも大きな影響を及ぼし、いわゆる「進歩的文化人」を多数擁し、左翼論壇の旗頭であった『朝日新聞』に、かつては『産経新聞』や『文藝春秋』を舞台に健筆をふるっていた保守派・良識派の言論人が登場するようになった。

 このような例をみても、マルクス主義や日本共産党流の「科学的社会主義」の強い影響下にあったわが国の言論界にも、冷戦終結10年を経てやっと「雪解け」がやってきたといえよう。

 しかし、「凍った湖は、水ぬるむ春先が危ない」とのサッチャー女史の警告が示すように、冷戦期間中、世界的な社会主義・共産主義の猛威に大同団結していた自由主義陣営に属する保守派の論客の間に、ポスト冷戦後の世界像や、唯一の超大国アメリカへの姿勢をめぐって思想上の内戦が各国で勃発している。

 わが国でも湾岸戦争への対応にその兆しが見られたが、昨秋の「9・11」に対する評価を巡っては、さらに鋭い見解の相違がうまれつつある。

 『正論』3月号に掲載された、「保守派の反米主義に異議あり」という論文で西尾幹二氏は、扶桑社版「新しい歴史教科書」の同人である漫画家・小林よしのり氏や気鋭の女性論客である長谷川三千子・埼玉大学教授、西部邁氏らのイスラム原理主義観やアルカイダの「テロリズム」についての彼らの評価について厳しく批判している。

 冷戦後の保守陣営内の対立は、共通の「敵」を喪失したことからくる不可避的な現象という面もあるが、その対立が先鋭化すればするほど、冷戦の勝利がもたらした自由・人権思想の恩恵を享受する自由陣営の共通基盤を損なう危険もあるだけに、「敵」につけ入れられることのないよう、あくまでも慎重で建設的な論戦を望みたい。

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