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共産党の規約改定問題 「規約」変えても何も変わらない共産党

思想新聞2000年10月15日号【ニュースコープ】

前衛性と民主集中制は科学的社会主義の果実

共産党の七中総で決議案の説明をする志位書記局長。右後は不破委員長(9月19日東京・代々木の日本共産党本部=時事)

 日本共産党は、11月20日から開催される第22回党大会に向け、党規約の大幅改定案を第7回中央委員会総会において採択した。規約改定の目的について、不破哲三委員長は、「わかりやすい筋のとおった規約を作ること」、「多くの人が党に関心を寄せ若い人がどんどん入ってくる現状の中で、現在の規約の前文は難しい」、「21世紀にふさわしい党を作り上げていく」などと説明している。「総選挙の敗北が背景にあるのではないか」、「綱領が変わらない以上本質的な変化はない」など、他党は敏感に反応した。というのも、綱領ほどの重みはなくとも規約は党の路線を示すものであり、さらにこのたびの改定は大幅なものである。それ故に、十分分析しておくことが肝要である。

前文を廃止し「前衛政党」削除した意味

 まず、「何を変えたか」をまとめておこう。改定された内容は大きくは三点あるといえよう。第一に、規約の「前文をやめて、新たに『第一章日本共産党の名称、性格、組織原則』という章をおこした」(9月20日不破委員長報告より)ことである。その結果、前文のなかにあった、「前衛政党」「階級闘争」「社会主義革命」などの表現が規約から削除されることとなったのである。なかでも「前衛政党」という文言を削除したことの意味を、不破委員長は次のように強調している。
「私達が、これまで『前衛政党』『前衛党』という言葉をつかってきたのは、わが党が労働者階級、あるいは日本国民に押し付けたりするという趣旨ではありません。どんな方針も国民の共感、信頼、そして自発的な支持を得てこそ実現されるものであります。私達が『前衛』という言葉で表現してきたのは、実践的には不屈性、理論的には先見性、ここに集中的にあらわされると思います。(略)私たちは、これまで、こういう意味で『前衛政党』という言葉をつかってきたのですが、この『前衛』という言葉には、誤解され易い要素があります。つまり、私達が、党と国民との関係、あるいは、党とその他の団体との関係を、『指導するもの』と『指導されるもの』との関係としてとらえているのではないかと見られる誤解であります」
 第二に、共産党の組織原則である『民主集中制』に関しての表現が変わった。従来の「決定に対しては、少数は多数に従い、下級は上級に従い、積極的にこれを実行しなければならない」「無条件に実行しなければならない」というものから「決定されたことは、みんなでその実行にあたる」「自覚的に行動する」などという表現になったのである。
 第三に、中央組織の名誉役員制度(第二十八条)において、従来の名誉役員区分である名誉幹部会委員と名誉議長、顧問をなくし、「規約の上でも実際の上でも名誉役員一本に変える」(不破委員長報告より)としている。

実質は捨てないマルクス=レーニン主義

 次に、「何を変えなかったか」を整理しておこう。第一に「科学的社会主義=マルクス、エンゲルス、レーニンの思想の継承と発展」が共産党の「理論的基礎」であるということであり、第二に「組織原則」としての「民主集中制」、第三に「綱領」である。なお、「綱領」は政党の基本路線を定めたものであり、このたび大幅に改定した規約は綱領に次ぐものとしての位置づけであることを理解しておく必要がある。

表現のソフト化のみに腐心する

 これまで、規約改定に関連して「何を変え、何を変えなかったのか」について一通り見てきたが、次に分析したいことは、結果として「何が変わったのか」である。紛らわしい表現となってしまったが、規約の表現を「変えたこと」イコール、共産党が「変わった」とはいえないからである。
 結論はただ一つ、規約の表現は変わったが、党の本質は何も変わってはいないということである。理由は、党綱領の基本路線の改定ではない(不破委員長は党大会後の改定をにおわせているが、二段階革命路線としての基本戦略に変更はないと明言している)ことと、科学的社会主義を理論的基礎とすることにあくまでも固執しているからである。表現のソフト化はこれまでの常套手段であり、その意味において一層うさんくささが増したといえよう。
「前衛」など、共産党の本質を直接的に表現する言葉を「誤解を招くから」という理由で削除しているが、共産党が「前衛」であることを否定しているわけではない。黒を白というに等しい、極めてわかりにくいものとなってしまっている。不破委員長のいう「わかりやすい筋のとおった規約」とは反対の結果をもたらしているといえよう。

変貌したイタリア共産党の実例

 日本共産党は一九七六年の第十三回党大会で「マルクス・レーニン主義」という呼称を削除し「科学的社会主義」に変え、党のイメージチェンジを図った。しかし、表現を変えただけで実質的には何も変わらなかった。繰り返しになるが、今回の用語の削除や表現の変更も、共産党の本質、そこから出てくる体質を変えるものとは決してならないのである。科学的社会主義=マルクス・エンゲルス・レーニンの思想を基礎とする立場を放棄しない限り、本質的にはなにも変わらないのである。今回削除した「前衛」性や、表現をソフトにした組織原則としての「民主集中制」も科学的社会主義を根とする必然的な果実であるからだ。
 共産党が本質的に変わり(そのときは共産党ではなくなっているのであるが)、政権に参画することのできる条件をあげてみよう。それは、かつてのイタリア共産党のように、「マルクス・レーニン主義」を放棄し(1979年)、党の組織原則である民主集中制を廃止し(89年)、党名を変更する(90年に「左翼民主党」と改名)ことである。

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