思想新聞 1999年6月25日号 共産党ここが間違い 1999
国旗・国歌法案の批判に根拠はなし

今春、広島県の高校長が国旗掲揚・国歌斉唱問題を苦に自殺するという痛ましい事件が起きて以来、国旗国歌法制化問題がクローズアップされています。そこで政府は日の丸を国旗、君が代を国歌とする国旗国歌法案を今国会に上程しました。これに対して共産党は国旗国歌について「これまで正式な法律がない」として法制化の必要性を認めつつ、一方では日の丸・君が代反対論をぶち、反対ビラを全国で4,000万枚以上をまいたといいます。はたして共産党の日の丸・君が代反対論は正当なものなのでしょうか、検証してみましょう。
慣習法で正真正銘の国旗・国歌として認められている
Q 共産党は「政府はこれまで『君が代』が国歌だ、『日の丸』が国旗だといってきましたが、この問題では、国民が相談をうけたことは一度もないし、国会できめたこともないのです」(『赤旗』号外5月号)として、あたかも日の丸・君が代が違法であるかのような宣伝をしています。法的根拠はないのですか。
A ニューヨークの国連本部ビルの前には加盟国の国旗がはためいています。ここに日本の国旗として日の丸が掲げられていることは世界の人々が承知していることです。昨年2月の長野オリンピックでは清水選手や原田選手など日本選手が活躍し多くの金メダルを獲得しましたが、メダル授与では日の丸が国旗として掲揚され、君が代が国歌として演奏されたことは記憶に新しいところでしょう。
日本共産党の不破委員長は昨年夏に訪中し、中国共産党と関係正常化しましたが、その中国共産党ですら日本の国旗国歌を日の丸・君が代と認めています。現に天皇陛下が訪中されたときには日の丸・君が代でお迎えしたことは13億の中国人民が知っていることです。
このように世界の人々が認めている日の丸・君が代を当の日本人である共産党員が認めていないとは、呆れた話ではないでしょうか。
たしかに共産党がいうように、日本には国旗国歌法といった法律が存在しません。だからといって日の丸・君が代に法的根拠がない、違法だと主張するのは、法律の本質を曲解した間違った見解です。
わたしたちの社会生活において守るべき規律・ルールはけっして法律だけではありません。法のほか道徳、慣習があり、法律が必ずしも全てではないのです。法は「国の物理的強制力を背景に、人々の外面的行為を規制する規範」とされますが、一方、道徳は「個々人の内的な良心に基づいて守られる規範」であり、慣習は「自然発生的に生じた社会の中での標準的な行動様式」とされているのです。
このうち慣習については法律と同一の効力を持っているとされ、世界的に慣習法と位置づけられていて、法律とまったく同じように法的根拠をもつとされているのです。
現に私たちの日本でも明治31(1898)年に制定された「法例」(法律第10号)第2条には「慣習法」が法律と同一の効力を有すると明記されています。この法例は戦後、平成元年の改正を含め4度も改正されており、けっして戦前の「効力のない法律」ではなく、現に生きた法律なのです。
こうした慣習法で見れば、日の丸はれっきとした法的根拠をもつ国旗です。日の丸は明治3(1870)年1月、太政官布告57号によって日本の商船に国旗として掲げることが決められました。明治32(1899)年に制定された船舶法では日本船舶に国旗掲揚が義務づけれられました。今日にいたるまで日の丸を掲揚していない船舶の船長には罰金刑が課せられているのです。
また、君が代の歌詞は「古今和歌集」、曲は宮内省式部寮雅楽課が明治13(1880)年に作曲して以来、国歌として斉唱され、慣習法として正当性を有しています。昭和52(1977)年に学習指導要領が改定された際、教育課程審議会が君が代を国歌と規定しましたが、きわめて正当な行為です。
慣習法と船舶法を理解せぬ共産党の事実歪曲した批判
Q しかし共産党は「大臣でさえ、日本の船に『日の丸』を掲げる根拠がよくわかっていません。川崎運輸大臣は『慣習法だ』と発言。運輸省の課長は『船舶法だ』と説明し、くいちがっています」(同)としていますが…。
A この共産党の主張こそ、国旗国歌問題を十分認識していない、つまり不勉強の証です。自分の無知をさらけだしているのです。
すでに述べましたように、日の丸は慣習法で正真正銘の国旗として認められているものです。そして、船舶法では国旗を掲揚することが義務づけられているのです。ですから川崎運輸大臣の答弁は日の丸を掲げなければならない根拠として「慣習法」としたわけです。一方、運輸省課長は日本の船に国旗を掲げる根拠を「船舶法」と答えたわけですから、両者の答弁には何ら矛盾はありません。「くいちがっている」と考える共産党は国語力がないだけの話でしょう。
つまり、船舶法のなかで国旗掲揚が義務づけられており、国旗として日の丸が慣習法として使用することになっているということです。大臣と課長の答弁にくいちがいがあるわけではないのです。
共産党はデタラメを並べ立てて日の丸・君が代に法的根拠がないかのような印象を国民に与えようとしているのです。
ドイツもイタリアも伝統のある国旗国歌を使っている
Q 共産党は「日本とともに、第2次大戦の主な侵略国だったドイツとイタリアは、戦後、国旗をとりかえました。戦争中の旗をそのまま政府が使っている国は、日本だけです」(同)と述べていますが…。
A ここでも共産党は事実をねじ曲げています。
日の丸の批判を行っている『赤旗』ビラではドイツの戦前の国旗として「鍵十字」の旗を紹介しています。しかし、これはヒトラーのナチスの旗であって、けっしてドイツ国旗ではありません。これをわざわざ持ち出してくること自体が事実の歪曲です。
ドイツ(西)は戦後、ナチス・ドイツ以前の、伝統のあるドイツ国旗にもどしただけのことなのです。それが現在のドイツの国旗です。ですから、共産党が主張するように「国旗をとりかえた」のではなく、由緒のある国旗にもどしたことが国旗変更の意味なのです。
ちなみに、ドイツ国歌はメロディは18世紀のハイドンがつくった「皇帝讃歌」で、作詞は19世紀の詩人ファラースレーベンのものとされています。国歌は19世紀以降、変更されたことはなく、今日に至るまでずっとドイツ国民に歌い継がれているのです。
イタリアの国旗はたしかに戦後、変更されました。しかし、それは王国から共和国に代わったのを受けて、中央の王家の紋章を外しただけのことです。もともとイタリア国旗はフランス革命の際、フランスが採用した青白赤の3色旗に対して、緑白赤の3色旗として19世紀から定着してきたものです。この3色旗が国旗とされているのです。だから、王家の紋章を外してもその3色旗に代わりはないのです。
このように第2次大戦国の「侵略国」と共産党が呼ぶ国でも、国旗には歴史と伝統が生きており、それを国民はこぞって尊重しているのです。
ですから終戦直後、日本が日の丸を国旗とすることに連合国は反対しませんでした。デタラメを並べ立てて日の丸を抹殺しようとする共産党は何という卑劣な政党なのでしょうか。
代案を示さない共産党は「赤旗」国旗化を狙う?
Q 共産党は「どんな国旗、国歌がふさわしいか みなさんはどうお考えでしょう」(同)と言いますが、当の共産党は日の丸・君が代がダメなら、何がよいと考えているのでしょうか。

A 共産党は常日頃から「反対だけの党ではない、いつも代案を提案する党」と言っています。ところが、国旗国歌については代案をまったく提示しない無責任ぶりを見せつけています。
これまで世界の共産党を例にとりますと、政権を奪取すると必ずといってよいほど「共産党旗」を国旗として押し付けました。旧ソ連がその典型でしょう。ハンマーと鍬の赤旗のソ連国旗は、なんのことはないソ連共産党の旗だったのです。ソ連邦が崩壊しロシア連邦が誕生すると、現在は伝統あるツアー・ロシア時代からの3色旗(横の模様)にもどしました。
こうした例をみれば、日本共産党が共産党の旗を国旗とする案をひそかに持っていると疑われても仕方がないでしょう。
そうした疑念をはらしたいなら、日の丸に代わる国旗案を自ら堂々と提案してみてはどうでしょうか。代案の提案もできず、なおかつ日の丸に反対する。これこそ赤旗を将来、国旗にしようとの野望をもっている証拠ではないでしょうか。
読売新聞の全国世論調査では国民の61%が「日の丸・君が代は国旗国歌として定着している」と答えています。それを今さら、「いっしょに考えましょう」とは呆れた言いぐさです。国民を愚弄しないでほしいものです。


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