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夫婦別姓訴訟 独りよがりの裁判闘争の狙い

この記事は2011年2月15日に投稿されました。

わが国の伝統的な家族制度を破壊しようとする文化共産主義勢力の動きが活発化し始めた。事実婚夫婦らが2月14日、夫婦同姓を定めた民法750条は個人の尊重や男女平等を定めた憲法に違反するとして東京地裁に提訴した。彼女らは国などを相手取り、総額600万円の損害賠償などを求めている。夫婦別姓についての違憲訴訟は初めで、弁護団は「国会では夫婦別姓を選べる制度への道が途絶えているため、提訴に踏み切った」(団長・榊原富士子弁護士)としており、国会の民法改悪に連動させようとしているのは明白である。

夫婦別姓の宣伝と国連の圧力を呼び込む

本格的な夫婦別姓裁判闘争が始めたと言ってよい。訴訟を起こしたのは、富山市の元高校教諭、塚本協子氏(75=結婚で改姓するも旧姓を通称として使用)と東京都荒川区のフリーライター加山恵美氏(39)・会社員渡辺二夫氏(43)の事実婚「夫婦」1組ら計5人だ。国の法制審議会が1996年に選択的夫婦別姓を導入する「民法改正」案の要綱をまとめたが、国は法改正を怠り精神的苦痛や損害を受けたとして、加山・渡辺氏の事実婚夫婦に150万円ずつ、他の3人に100万円ずつ支払うよう求めている。
 夫婦別姓訴訟の背景はすでに「今日の視点」1月9日付で詳述したところである(参照されたい)。原告の富山市の元高校教諭は子供権利や反戦、憲法9 条、フェミニズム運動、被差別民問題などを行っている文化共産主義グループの代表者である。加山と渡辺なる事実婚「夫婦」は結婚後に「ペーパー離婚」したという身勝手な人物。弁護団長の榊原富士子弁護士はジェンダー法学会理事などを務めるフェミニストである。夫婦別姓裁判闘争の狙いは、「同姓で苦しんでいる人がいる」といった国民へのアピールと、国連を使って日本政府に夫婦別姓導入の圧力をかけることの2点だ。女子差別撤廃条約が国内法で」「救済」されなかった場合、問題を国連に持ち込めるとしているからだ。それで裁判闘争を仕掛け、敗北すれば(同姓は合憲なので間違いなく敗北する)、国連に提訴するという構図を描いている。

「個人の尊重」を保障する夫婦同姓を無視

それにしても馬鹿げた訴訟である。原告側は夫婦同姓規定が憲法13条の定める個人の尊重を侵害している、また結婚は男女の合意のみに基づいて成立し男女は本質的に平等と定めた憲法24条に違反する、と憲法を振りかざして訴訟を起こしているが、憲法をはなはだしく履き違えている。
 憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とする。確かに「個人の尊重」は人類が隷属から解放され、信教や思想の自由を獲得した証として尊ばれ、現行憲法も「個人の尊重」を普遍的原理としている。だが、個人が尊重されるには平和な社会が必要であることは言うまでもなく(安全保障も個人の尊重に欠かせないのだ)、また何よりも重要になるのは人が生まれ、育まれ、尊厳ある人生を送る基盤となる家庭の安寧である。人権を問うとき、家族もまた問われるのはそのためである。
 1948年の国連の第3回総会で採択された世界人権宣言は「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」(16条3項)と明記し、66年に採択された国際人権規約も「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し、…与えられるべきである」(人権A規約10条1項)と定めている。世界人権宣言も国際人権規約も、個人が尊重され人権が守られるためには家庭、家族が守られ、援助されなくてはならないとしているのである。このように家族の守護が「個人の尊重」の前提とされていることをまず想起しておかねばならない。
 世界人権宣言がいう「家庭の保護」について、わが国は民法に家族条項(第4編・親族)を設けて対応しているのである。婚姻は届け出によって成立し(法律婚)、夫婦の氏(姓)は「夫又は妻の氏を称する」(750条)としてファミリーネームを一つにし、子の氏については「嫡出である子は、父母の氏を称する」(789条)とする(非嫡出子は母の氏を称する)。このことによって「家族は一つである」ことを明確にし、それによって安定した家庭生活、夫婦関係、親子関係を保護している。それで重婚を禁止し(民法732条)、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」(752条)とし、配偶者に不貞な行為があったときは離婚の訴えを提起できるようにし(771条)、守操義務を課しているのである。さらに民法は親族の扶(たす)け合いを責務とし、婚姻や夫婦財産、親権などの権利と義務を明示し、家庭の安寧を図っている。夫婦同姓とするのは「家族の保護」という立場に立つからであって、そのことによって、「個人の尊重」がより守られると考えるからである。夫婦同姓が憲法違反とするのは独りよがり解釈にすぎない。

夫婦別姓で家庭破壊・性倫理破壊を企てる

憲法第24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とし、同2項は「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」とある。ここから「両性の合意のみ」とか「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚」だけを取り出して拡大解釈し、同姓は違憲とするのも独りよがりである。確かに24条は舌足らずの欠陥憲法ではある。異様なことに「離婚並びに婚姻及び家族」と離婚を真っ先に書き、婚姻と家族はその後の付け足しのように扱われている。とはいえ、これをもって同姓が違憲になることはない。
 夫婦別姓を日本に持ち込もうとしているのは、家庭倫理・性倫理を破壊し、社会全体の倫理規範を打ち破って不倫、フリーセックス、不道徳社会をもたらそうとする輩である。こうした人々は「結婚や家族のあり方が多様化してきた」とか「時代が変化してきた」と称して巧妙に家族破壊策を浸透させようとする。選択的夫婦別姓はその最たるものと言わねばならない。選択的夫婦別姓とは婚姻届を出すとき、夫婦それぞれの姓がバラバラでも構わない(つまり旧姓のまま)、従来どおりの同姓でも、あるいは別姓でもどっちでもよいというものである。世界では同姓か別姓か、どちらかに統一しており、選択的といった社会混乱を招きかねない曖昧な制度はどこにもない。それを日本に持込み、家族をばらばらにしようというのが選択的夫婦別姓導入の狙いである。

民法の家族保護条項がターゲットにされる

夫婦別姓だけでなく、民法の他の家族保護条項も改悪しようとしている。女性の再婚期間の短縮(746条=6カ月から100日)や離婚300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する300日規定の撤廃(772条2項)、非嫡出子の相続区別撤廃(900条4項=嫡出子の2分の1)などである。こうした民法の規定はいずれも家族を守護するためにあるものだ。再婚期間の300日規定は、家庭倫理を守り、子供の権利を守るためのものである。すなわち前夫の子供を懐妊したまま再婚するのは倫理上好ましくないし、その期間に生まれた子供に対して仮に前夫も現夫も父親と認めなければ子供の人権を守ることができなくなる。あくまでも家族を守護し子供の人権に考慮してこうした規定がある。厚生労働省によると、非嫡出子は2万3000人で出生数全体に占める割合は2・1%であるという(08年)。こうした非嫡出子あるいはその関係者の一部から相続を嫡出子の半分とするのは平等権の侵害とする主張があるが、仮にそうした不利益があるなら、それは親子などの当事者間で解決を図るべきであって、98%が嫡出子である日本社会まで巻き込んで、従来の秩序(法律婚)を壊してまで権利要求するのは筋違いもはなはだしい。そもそも非嫡出子の「区別」は相続にのみ限定されており、1991年に東京高裁は「(民法は)法律婚主義を尊重し奨励するという目的から制定された規定であり、違憲ではない」とし、95年に最高裁大法廷は「相続分の区別は合理的理由のない差別といえない」と合憲判断を示している(15裁判官中5人が反対意見)。
 以上のように家族破壊にまで広げていこうとするのが、夫婦別姓裁判闘争の狙いである。我々は断じて容認できない。

2011年2月15日

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