この記事は2013年9月25日に投稿されました。
安倍政権は、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を来年春以降とする方針を固めた。
首相は当初、早ければ年内に集団的自衛権の行使を容認したい考えだったが、経済最優先の意向とともに、連立を組む公明党が慎重姿勢を崩さなかったためだ。臨時国会では産業競争力強化法案や国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案、特定秘密保護法案など重要法案が多く、臨時国会後に本格的に取り組む方向だ。
「時代遅れの抑制」は取り除け
日本国内では「自衛隊は地球の裏側にまで言って戦争するのか」などの的外れな議論が盛り上がっているが、世界では常識的な権利である。
国連憲章では、第51条で次のように明記されている。
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」
日本の同盟国は米国だから、集団的自衛権の行使とはすなわち、米国が攻撃を受けた際に日本が武力を行使することである。この状態について、当の米国はどのように考えているのだろうか。
米連邦議員で、国防戦略の専門家であるアーミテージ氏らは、昨年「第三次アーミテージレポート」をまとめた。その中では、以下のような内容が指摘されている。(以下、海上自衛隊幹部学校HPより引用)
「中国の隆盛と不透明性、北朝鮮の核や敵対的活動、アジアのダイナミズムの兆候等、今目前にある情勢を踏まえつつ、世界で最も重要な同盟関係である『日米同盟』が瀕死の状態にある」
「力強くかつ対等な同盟の復活が要求されている」
「日本は今後とも『一流国』として国際社会で一定の役割を果たすべきである」
「自衛隊は日本で最も信頼に足る組織であるとの評価を明言する一方、『時代遅れの抑制』を解消することで、アジア太平洋地域における海洋安全保障上の戦略的均衡の要になり得る」
「『武器輸出三原則』緩和及び『集団的自衛権』容認の必要性等について言及している。」
「国連平和維持活動への参加については、(中略)派遣された部隊の法的権限の拡大(文民のみならず、他国のPKO要員、要すれば部隊の防護を可能とする権限付与)について言及している」
すなわちこの報告書は、不安定化する東アジア情勢において日米同盟の強化こそが最大のカギであり、そのためには日本は武器輸出三原則や集団的自衛権を見直すべきだというのである。的確な情勢認識である。
包括的な容認が必要だ
ある自民党幹部は、「地球の裏側に行くようなことは許されない」などと主張したが、何が起きるかわからない軍事的な行動をあらかじめ縛ること自体がナンセンスだ。
行使できるように憲法解釈を変えたら、必ず行使しなければならないというわけではない。米国の要請があったとしても、自衛隊を派遣するかどうかは政府がその都度判断するからだ。これは反対の立場でも同じことが言える。たとえば日本が他国から攻撃を受けた場合、原則的には米国は日本を守るが、そのためには日本が主体的な姿勢を示す必要がある。領土問題がからむ尖閣諸島への攻撃ならなおさらだ。シリア問題でも、国際法に反する化学兵器の使用という蛮行に対して、米国は武力攻撃を行わなかった。枠組みを変えただけで、即戦争が起きるというような無意味な論争はやめるべきだ。
安保法制懇は、2008年に「4類型」については行使を容認すべきとの提言を行ったが、当時と比べても東アジア情勢はますます混迷の度合いを深めている。限定された事例に備えるだけでは平和は保てない。集団的自衛権行使は、「4類型」に限らず包括的に容認すべきだ。


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