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File-28 《ファランステール》が男女共同参画の基に

機能主義思想によって人間精神を全て還元

思想新聞2001年3月1日号 シリーズ Q&A 共産主義は間違っている!!

フェミニズムの仮面を被ったマルクス主義 12

欠如する愛情のファクター

家事はアウトソーシングすればよい?

Q 「フェミニズム」という言葉を発明したというフーリエの、「ファランステール」という共同体構想について、もう少し説明してください。

 八木秀次・高崎経済大助教授の先の論稿を、少し長いですが引用してみましょう。
「ここ(ファランステール)では一夫一婦制は無意味となり、恋愛や結婚は従来の拘束から解き放たれ、、女性だけでなく男性も解放されると考えられた。いつでも解約可能な契約による任意結婚や共同体が育児の責任を負う家庭生活、風俗の自由が提唱され、夫婦が《2組、3組、あるいは4組》で交際することが可能になるとされた。つまりスワッピングないしは雑婚のすすめである。
 家族が廃止されたこの共同社会では、1500人の料理女を置く代わりに料理センターを、1500人の仕立屋の代わりに一つの共同作業所を設置することが提唱された。料理、育・児、裁縫……が外注(アウトソーシング)され、自由に選択した活動を行う余暇を確保するために、女性は各人の台所で毎日10個のジャガイモを個々に剥くという無駄な時間を過ごすことはないとされた。
《女性がそろって母性的傾向があり、そろって小さい子供の世話に熱心であるとは限らない》。フーリエはこのように考えた。《ファランステール》では男女ともに同じ教育を受け、同じ経験を分かち合い、同じ職業の準備をする。そのためには各自が何の拘束もなく成長することが肝要であるとし、《幼年時代からスカートとズボンという対照的な衣服で男女を区別すること》を避けた。まさしくジェンダー・フリー教育の実践である。
 フーリエの提唱した《ファランステール》――ここには今日『男女共同参画』を提唱している者たちが主張している政策があらかた実現されている」
 このように、フーリエの考えた「ファランステール」なる共同体は、機能主義的なものなのです。「いつでも解約可能な結婚」という表現は、そもそも「結婚」という考え方そのものを否定してしまったと言えるのではないでしょうか。炊事・洗濯など家事を「アウトソーシング」することによって、余暇を生み出すというのです。けれども「家事」には、機能だけに還元し尽くすことができない「愛情」や「思い入れ」というファクターがあるはずなのです。もちろん、ものごとを合理的に一括して処理するのが便利であることは確かです。大事なことは、このようなファクターこそ、つまらない余暇よりよほど充足しているはずです。家事は夫が手伝ってもいいのです。人間を心から突き動かすことができるのは、まさにこのような愛情や思い入れというファクターなのではないでしょうか。

レーニン時代のソ連でも家族制廃止

 そして、旧ソ連において家族制度の解体が社会を、そして国家を大混乱に陥れてきたことについて、小欄の18回目でロシアの連邦軍縮局長オシピアン博士の講演を紹介しました。それは家族の絆の破壊と子供の「紅衛兵化」をすすめたものでした。それより前、スターリン時代ではなくレーニン時代に家族制度を全く解体しようと試みたのでした。それを、八木助教授は、フーリエの構想を継承したのがマルクス・エンゲルスであり、現実に政策化したのがレーニンであった、とティマシェフの論文「ロシアにおける家族廃止の試み」をこう引用します。
「レーニンはロシア革命開始直後、女性解放のための徹底した政策を採用した。そこでは家長権が廃止され、女性は独立した人格として男性と同等の権利を手に入れた。女性は参政権を得、離婚の自由、財産権及び親権の平等が確立した。そればかりか、これらと並んで女性を家族制度の束縛から解放し、労働者として自立させるために、家事労働の共同化、保育所の設置が主張され、さらに、家族制度の廃止が、性の自由が論じられた。しかし、これらの政策は次第に国家の屋台骨を脅かしていった。1934年頃にもなると社会の安定と国家の秩序を脅かすものと認識され始めた」……

 すなわち堕胎と離婚の急増の結果、出生率が急減し、家族・親子関係が弱まった結果、少年非行が急増した。また性の自由化と女性の解放という壮大なスローガンは強者と乱暴者を助け、弱者と内気な者を痛めつけることとなった。何百万もの少女たちの生活がドン・ファンに破壊され、何百万もの子供たちが両親のそろった家庭を知らないことになった。
 こうしてソ連政府は1934年には従来の家族政策を根本的に見直して、フーリエ以来の構想と決別し、家族を「社会の柱」として再強化することになった。すなわち、妊娠中絶を禁止し、離婚手続きを複雑化させ、子供の保育・教育における両親の責任を増大させた。家族が国家の基礎単位として重視され、女性は自由な市民としてよりは母親として尊重されるようになった。

ドン・ファン(スペイン語: Don Juan)はスペインの伝説上の人物で、数多くの女性を誘惑しては捨てる好色放蕩な「猟色家・女たらし」の代名詞。

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