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File-12 教育勅語はすべて軍国主義的徳目か?

思想新聞 2000年6月15日号

【シリーズQ&A・共産主義は間違っている】

「普遍道徳」を認めないのは革命のため

共産党の市民道徳論の欺瞞を見ぬけ!

「普遍道徳」に異常反応

Q 共産党は、森首相の「神の国」、「国体」発言、さらには「教育勅語にも普遍道徳的な内容がある」との発言に対して、この時とばかり激しい批判を繰り返しています。特に共産党の批判の特徴は「教育勅語」の中の「普遍道徳的内容」についてです。それは全て戦前・戦中の軍国主義的徳目であるというものです。共産党にとって、道徳や価値とはいかなるものなのでしょうか。

「神の国」発言を執拗に追求する「赤旗」


「物質的環境により意識が変わる」

 共産主義思想において普遍的道徳という概念はないのです。唯物論的考え方によれば、物質的環境が人間の意識を規定します。ということは、物質的環境が変われば意識も変わる。つまり、人間の意識に関わる道徳や価値観も変化し、普遍はあり得ないことになるわけです。
 共産党の最近の主張に教育に関する内容があります。志位和夫書記局長が、五月二十九日の日本外国特派員協会で講演した後の質疑応答において教育問題にふれ「私たちは本当の意味で市民道徳というものを、子供達にしっかり教える必要があると思います。命を大切にするということ、他人の人権を尊重するということ、真実を勇気を持って述べることなどのモラルをしっかりと子供に教育する必要があると思います」と述べています。
「市民道徳」なる言葉を持ち出して「命を大切にすること、人権の尊重、真実を勇気を持って述べること」などであるとしているのですが、全てが日本共産党も含む、共産主義の歴史によって否定されてきたものばかりです。それ自体が空虚であると同時に、「真実を勇気を持って述べていない」のです。

全人類的モラルと敵対するマルクス主義

 アレクサンドル・ヤコブレフ(元ゴルバチョフ大統領主席顧問)は、共産主義と道徳について次のように述べています。
「マルクス主義の特異性は、社会生活や歴史過程を研究する際に、道徳的、価値判断的なアプローチを否定する点にある。道徳的世界と歴史過程の関係は、まるで逆転しているかのようだ。歴史過程が道徳を必要としているのではなく、道徳が歴史過程の結果として実現するのだ。実のところ、マルクス主義の社会学説全体、とりわけ、プロレタリアート独裁、収奪者の収奪の教義(資本の本源的蓄積の過程で民衆、つまり労働者階級は少数の資本家によって収奪されるが、生産手段の集中と労働の社会化が資本主義的外皮と調和できなくなる点に達すると、今度は資本家達が民衆によって生産手段を奪い返される、というマルクスの説)は、市民社会の道徳基盤としての全人類的モラルと敵対する。マルクスの考えでは、ブルジョア的な経済・社会生活・国家を機能させている道徳的法的規範を徹底的に拒否しなければ、プロレタリアートの歴史的使命は実現し得ない」(『マルクス主義の崩壊』サイマル出版会 四六~四七頁)
 共産主義者は「普遍道徳」という言葉に異常な反応を見せる体質を持っているということがおわかり頂けたと思います。

今でも評価すべき部分ある教育勅語

 中曽根弘文文相は五月二十九日の参議院本会議で、戦前の教育の基本理念となっていた教育勅語について、共産党の阿部幸代氏の質問に対して「復活はもとより考えていない。ただしその中には『父母に孝に兄弟に友に夫婦相和し』など、今日も大切にすべきことがある」と述べ、部分的には評価できる点があると明言しています。「全てが軍国主義的徳目だ」などとの共産党の主張は間違っているのです。

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