思想新聞2002年7月1日号【マスコミ論壇ウオッチング】
『朝日新聞』は、「ワールドカップ・オフィシャル・ニュースペーパー」としての立場を最大限に利用しようとしたようだが、結果はどうだろうか。
組み合わせによっては70%近く、時に瞬間視聴率80%を記録する「お化けイベント」の威力の目の当たりにして、『朝日』は特権的な「オフィシャル・ニュースペーパー」であることを内外に誇示し、投資に見合う、いやそれ以上の結果を収めて一カ月に及ぶ歴史的かつ幸福な期間を終えるものと思われた。
ところが、期間中に表面化したジャッジの誤審問題に絡み、FIFA(国際サッカー連盟)の姿勢に疑問が投げかけられ、日韓両国の活躍に沸く今回のワールドカップに、この「誤審問題」が影を落すことになってしまった。
そんな時、『朝日』のスポーツ面に目を落すと、見開き2面のサッカー特集の最下段の隅に、虫眼鏡で見なければならない1ミリ余りの活字で組まれた「朝日新聞の記事はFIFA、JAWOCと関係なく独自の取材と判断に基づいています」という但書きが目に入った。
『産経新聞』によれば、『朝日』が「FIFAと弊社は立場を明確にするために話し合い、この文言を載せることにした」という。(『産経』6月24日付朝刊)。同じく『産経』によれば、「一昨年11月に同紙がスポンサーに決まった際、『客観報道が貫けるのか』といった批判が他のメディアから相次いでいた」という。『朝日』にしてみてば、このような批判も同業他社のやっかみぐらいにしか感じていなかったのではなかろうか。
ところが、開催直前のFIFAのブラッター会長のスキャンダルをめぐってFIFA総会が紛糾するなど、「広報紙」ではないことを明示しないと、痛くない腹を探られかねないとの判断が働いたのかもしれない。「オフィシャル・ニュースペーパー」としての特権を享受しながら、『朝日』の暖簾を守ろうとすれば、人知れない「苦労」のあることを窺わせるに十分な、今回の但し書きの一件といえよう。


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