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自称「水爆実験」が中韓を引きはがす

この記事は2016年1月29日に投稿されました。

北朝鮮の自称「水爆実験」(1月6日)が思わぬ効果を生んでいる。韓国が対中傾斜を見直しているのだ。
 朴槿恵大統領が13日、国民向けの談話で次のように述べた。
 「中国はこれまで、北朝鮮の核を認めない意志を公言してきた。こうした強力な意志が実際に必要な処置と結びつかなければ、北朝鮮が5回目、6回目の核実験を防ぐことができず、朝鮮半島の真の平和と安定を保障できないという点を中国もよく分かっていると思われる。今後、中国が国連安保理理事国として必要な役割を果たすことを信じている」(産経ニュース)
 この発言は、裏を返せば「北が核実験を行ったのは強力な制裁を行わない中国のせいだ。こんなことは二度とあってはならない」という意味である。朴政権がこれだけ厳しく中国を批判したのはもちろん初めてである。
 さらに朴大統領は談話で、「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の韓国配備に前向きに取り組むと述べた。THAADとは、北朝鮮から発射された弾道ミサイルを迎撃するシステムである。中国はこの計画に猛反対だ。レーダーを北朝鮮から中国に向ければ、「中国の東海岸の軍備が米軍に丸見えになる」(韓国国防省当局者)からである。それで韓国は、中国の顔色を伺いながら米国への返答を曖昧にしてきた。
 もし韓国が対中傾斜を本格的に見直せば、朴政権が始まって以来の外交政策の大転換である。このことは、今後の東アジア情勢において極めて大きな意味を持つ。

韓国の対中政策

韓国は日本と同様、米国と同盟関係を結んでいる。ところが韓国は、米国と激しく対立する中国との関係も深い。第一に経済面だ。今や韓国の貿易相手国は中国がダントツの1位であり、貿易額は米中を合わせたものよりも大きい。そこで韓国はここ数年、「安全保障は米国、経済は中国」という「安米経中」路線をとってきた。
 北朝鮮問題も深刻だ。北朝鮮が核実験やミサイル実験などの暴挙を繰り返せば、韓国のダメージは日本の比ではない。米軍は北朝鮮の武力攻撃を防いではいるが、これらの暴挙を止める力はない。それで韓国は、北朝鮮により強い影響力をもつ中国へと接近せざるを得なかったのである。
 朴政権に至り、韓国は中国との距離をさらに縮め始めた。昨年3月にAIIB設立に参加を表明し、10月には北京の抗日戦争勝利70周年式典に大統領自ら参加した。いずれも米国が不参加を要請したにも関わらず、である。
 米国にとって韓国の位置づけは大きい。オバマ氏は、外交政策の柱にリバランス政策を掲げている。これは、米国の世界戦略の重点を中東からアジア・太平洋地域に移すというコンセプトである。ところが中国が覇権拡大を露わにし、さらに米国で軍事費を今後10年にわたって大幅に削減することを決めた。ではどうやって米国のプレゼンスを維持するのか。オバマ氏はそれを、同盟国の日本、韓国、豪州との連携を強化することによって実現すると説明した。この成否のカギを握るのが韓国である。韓国だけが、中国側につくのか、米国側につくのかはっきりしない。むしろ朴大統領は「安米経中」からさらに中国寄りに、すなわち「米中均衡」へとシフトした。その韓国が今回、中国を厳しく批判し、米国との連携を示唆した。北朝鮮の核実験は決して許されるものではないが、より大きな視点で思わぬ効果を生んだのである。

日本の役割が大きい

中北関係は張成沢の処刑以来悪化しているが、中国に北朝鮮をつぶす気はさらさらない。もし崩壊すれば、米軍との緩衝地帯を失うことになるからだ。これが、中国が北朝鮮に支援を続ける理由である。
 北朝鮮問題を解決するには、米中韓、そして中国とロシアが結束する以外にない。これが六者協議である。日本は拉致問題の解決も重要だが、アジアの安全保障に真剣に取り組まねばならない。日本の役割は大きい。韓国が米国、そして日本へと一歩近づいた今こそ、その絶好のチャンスである。

2016年1月29日

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