思想新聞2003年5月1日号【マスコミ論壇ウオッチ】
開戦からほぼ3週間を経て首都バグダッドが陥落したことで、今回のイラク戦争は一応の終結をみた。
ところで、今回のイラク戦争をめぐる報道においては、米国防総省の組織した500人とも600人ともいわれる大規模な従軍取材陣が話題となった。
クェートから国境を越えイラクに入り、ひたすらバグダッドを目指して北進するアメリカ軍の戦闘車両に随行し、ビデオフォンで部隊の様子や戦闘について各局の記者が文字通り実況中継するのを日々目の当たりにして、戦争報道が湾岸戦争の時よりもさらに変化を遂げたことを痛感した。
しかし、今回のイラク戦争報道、とくにわが国のテレビ局の報道において極めて重大な事態が進行していたことを指摘したい。
それは他でもない、バグダッドの事態を報じるために民放各局が頼った「フリージャーナリスト」とよばれる一団の報道姿勢の問題である。彼らのほとんどは、各局所属の記者であればそこまで露骨には開陳しないであろう、自分自身の感想や見解を垂れ流しつづけたのである。
その多くは反米的なものであり、契約している局の方でも今回の戦争に対して大半の国民が反対しているという世論の動向から、彼らが一方的とみえるほどに反米的な観点から戦況を伝えたり、バグダッド市内の被害に関する解釈を述べたとしてもそれほど抵抗なく、かえって各局としては責任問題を回避しながら、世論に沿った番組づくりが出来るという意味で、両者は暗黙のうちで利害は一致していたのかもしれない。いわば、わが国の民放テレビの多くは、「日本版アルジャジーラ」といっていいほどの立場で今回の戦争を報じつづけたといっても過言ではない。
アメリカでは、湾岸戦争で評価を高めたCNNが、実はバグダッドに常駐の放送拠点を構えるために、過去10年あまりにわたってフセイン政権の情報工作に沿った報道を行ってきたのではないかということが指摘されているが、今回のイラク戦争に関するわが国の報道の在り方についても検証が不可欠だ。


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