この記事は2013年11月6日に投稿されました。
中国・山西省で今日6日の午前、共産党委員会の入り口前で連続爆発が発生した。死傷者もいるようだ。爆発音は7回あり、車20台が激しく損傷した。現場からは殺傷能力を高めるための小さな鉄球が見つかっており、テロの可能性が高い。「入り口付近の花壇の中で爆発が発生した」「車の中で爆発が起きた」など、いくつかの食い違う証言があり、情報が錯綜している。
天安門広場での車両爆破事件はウイグル族によるものだったが、今回の爆破事件が起きた山西省はウイグル族など少数民族問題への関わりはない。一体中国では今、何が起きているのだろうか。
習政権のメンツを潰した天安門爆破事件
ウイグル族は、中国国内では人口約1100万人の少数民族だ。彼らは、中国が建国された1949年には東トルキスタン共和国という名の独立国家に居住しており、当然中国の配下にはなかった。
しかし同年、毛沢東がウイグル侵攻を指示した。人民解放軍がこの地域を全面制圧し、年末までには完全に中国の配下に治めた。以来、中国はこの地域を新疆ウイグル自治区と定め、独立運動には徹底した弾圧を行ってきた。
特に習近平政権になってからは、その激しさが増している。報道されているだけでも10人以上の死者を出す事件が3度も起こっている。4月には、公安が民家を襲撃し、15人が死亡、8人が拘束された。6月には、住民グループと警官隊が衝突、27人が死亡した。そして8月には、公安がウイグル族の集団を襲撃し、少なくとも15人を射殺した。ウイグル族は熱心なイスラム教徒であり、人種も漢民族とは全く異なる。彼らが独立を強く求めるのは当然だが、習政権はこれを強引に押さえつけてきた。
その中での天安門の爆破事件である。この事件が習政権に与えた心理的ダメージは極めて大きい。11月9日から行われる重要会議である三中全会を目前に控え、かつ共産党政権の象徴である天安門広場前で起きたのだ。まさに、メンツ丸つぶれといったところだ。
習政権が、今後さらにウイグル族への締め付けを強めることは間違いない。実際自治区内のトルファン地区では、ウイグル族計78人の写真付き手配書が出された。事件との関連は不明だ。
人権弾圧の強化は危機感の裏返し
民衆による抗議運動が中国全土で頻発している。習政権は、昨年11月の発足当時から、その抑え込みにやっきになってきた。国家予算の中でも、膨張し続ける軍事費よりも、治安維持費のほうがさらに大きい。
習政権が出発してから約2週間後には、いきなりキリスト教系の新興宗教への弾圧を始め、関係者1300人以上を拘束した。メディアや言論に対しては、25万人の記者に対して免許証更新のために研修を受けることを必須とした。10月から始まったこの研修では、日本や米国などを厳しく非難するよう指示し、報道の自由や立憲政治を求めることは厳しく戒められた。研修の名前は「マルクス主義報道観」である。
日本の東洋学園大の教授である朱建栄氏の拘束も記憶に新しい。朱氏は7月、上海市内で拘束され、その後の動静は不明だ。これ以降、中国政治について積極的に発信する学者はかなり減った。
弾圧の強化は、習政権の足場がまだ固まりきれていないことへの裏返しでもある。国内で暴動などの問題が頻発すれば、習氏の敵対勢力からの批判が強まることは間違いない。三中全会は、歴代の指導者が政権基盤を盤石にするための重要な会議だ。その直前に爆破事件が連続で起きたことも、習政権にとって相当なダメージだ。
今後の中国が安定に向かうのか。それともますます不安定化するのか。三中全会が大きなポイントになる。
2013年11月6日


コメント