思想新聞 平成8年(1996年)10月15日号
- Q–共産党は今回の総選挙で 議席を増やす見通しと言われていますが、そもそも東西冷戦が終焉したのに、いまだに日本共産党は大きな勢力を誇っているのですか?
A–たしかにソ連は崩壊し、東欧共産国も消滅しました。しかし、共産党はそれは自分たちとは無縁、むしろ自分たちの路線の正しさが証明されたなどと宣伝しています。ソ連・東欧圏の話と日本の話とは別だというのです。 - Q–今の共産党はどんな戦術で党勢を保持し、選挙に臨んでいるのですか?
A–共産党が選挙に勝つため、『二本足の活動』を強調した運動をしています。この『二本足の活動』とは、平和運動、消費税反対運動、学生運動などの大衆運動をつうじて、共産党の党員や機関紙「赤旗」の拡大(党建設)にむすびつける。それが財政基盤となり、選挙の時の底力となるという計算です。 - Q–それで実際の選挙ではどうなんですか?
A–過去20年ほどの衆議院選挙と、共産党の得票と共産党の党員数、赤旗の部数を見てみますと、表のようになります。
(表)共産党の党勢
党員数 赤旗部数 当選者 得票数
1972年(昭和47年) 34万人 280万部 39人 549万票
1976年(昭和51年) 38万人 315万部 16人 603万票
1980年(昭和55年) 44万人 355万部 29人 594万票
1983年(昭和58年) 48万人 282万部 26人 544万票
1986年(昭和61年) 47万人 273万部 27人 543万票
1990年(平成 2年) 48万人 283万部 16人 523万票
1993年(平成 5年) 43万人 237万部 15人 483万票
1996年(平成 8年) 36万人 250万部 26人 726万票
10年前に頂点に達した共産党は、その後じり貧傾向が続き、特にソ連や東欧の崩壊にともなってあらわれた「共産主義失敗論」「階級闘争消滅論」によってダメージをうけたことを、不破委員長も報告で認めています。
この7月に開かれた第五回中央委員会での冒頭発言で、宮本議長は、「30数万の党員」と述べていますし、同じ五中総で不破委員長も「36万人の党員」と報告していますので、結局「50万近い党員」をほこりにしていたことを考えれば、25%の党員がいなくなったことになります。
さらに宮本議長は、「赤旗」については現在「250万部の機関紙」と述べています。これは、最盛期の355万部からみれば、100万部の減少。しかも、不破委員長によれば、「前回の総選挙に比べても日刊紙で10%、日曜版で6%の後退です。読者数としますと16万8000人が減ったことになります」と発言していますので、220万部くらいなのかもしれません。それで、「機関紙が前進しなければ、党の前進は保証されません」(宮本)とか、「前回水準を早く突破し、三割増の読者拡大をめざして全力をあげる必要がある」(不破)と叱咤激励しています。 - Q–しかし、党員や「赤旗」は減っても、参議院選挙や東京狛江市の市長選、東京・足立区の区長選では勝利しているんじゃないですか?
A–たしかにその通り。共産党の党勢が減少しているにもかかわらず、共産党候補が勝つのは、共産党への積極的期待というより、他の党がふがいないので、消却法で共産党候補に投票しているというケースが多いようです。
ですから、今までのように共産主義イデオロギーを中心として党員を教育、拡大し、「赤旗」を増やして党勢拡大する。そして選挙戦にのぞむというやり方で支持が増えているわけではないのです。 - Q–党員も「赤旗」も大幅に減少している現状では、「比例代表選挙で690万票」(不破、四中総)などは、よほど他党に失点がないかぎり無理ということでしょうか?
A–そうです。しかし、政治の混迷がもっと深まれば、行き場を失った不満層を吸収する可能性があることを見逃すわけにはいかないでしょう。警戒が必要です。


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