思想新聞2003年11月1日【マスコミ論壇ウオッチング】
太平洋戦争初期の昭和17年3月、インドネシア近海で行われたスラバヤ沖海戦で沈没した英海軍の駆逐艦エンカウンターに乗り組んでいた元英海軍中尉が、救助してくれた元日本海軍中尉に感謝の意を表すために来日する。この元英海軍将校は「日本に行って感謝しないと、私の一生は終わらない」と話しているという。
この元英国海軍軍人はサムエル・ファーレさんといい、スラバヤ沖海戦で同じく沈没した巡洋艦エクゼターの乗組員と合わせて約400人が救命ボートに乗り移り、沈没後20時間近く海を漂っていたところ、近くを通りかかった日本海軍の駆逐艦・雷(いかずち)に同僚と共に救助されたのだという。
ファーレさんたちは「殺されるのではないか」と恐れ、救助を指揮していた雷の砲術長、田上俊三さんも血気盛んな水兵たちが敵国の英兵に「暴力をふるうかもしれない」と心配していたという。
しかし、田上さんの部下たちはけがの手当てばかりか、重油で汚れた英兵の体を拭ったり、彼らに飲み物やたばこを与えたという。そのような部下の姿に田上さんは感動を抑えきれなかったという。
海戦から45年後の1987年、英誌に掲載されたファーレさんの体験記が邦訳され日本の雑誌に載ったのを目にした田上さんが、ファーレさんの住所を探し出し、88年にはフォーレさんを訪ね、以来、二人の元海軍軍人の交流は続いており、この10月にはファーレさんが来日し、旧交を温めるという。
今回紹介したこの「ちょっといい話」は、10月12日付の「朝日新聞」朝刊が大きく報じたものだが、田上さんは「大戦で日本は中国やミャンマーなどで残虐行為をしたと指摘された。ファーレさんが感謝のために来てくれるのは、日本人が本来優しい心を持っていることを証明してくれることにもなる」と喜んでいるという。日本を貶めることの多かった「朝日」が、日本人が本来優しい心を持っていることを証明しようと変化する兆しと喜んでいいのだろうか?


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