思想新聞1998年10月5日号
「躍進・共産党」の正体 Part 【5】
見せかけの「現実政党」
詭弁だらけの3中総方針

共産党は9月24四、25日の両日、党本部で第三回中央委員会総会を開催し、暫定政権下での安保凍結や天皇制容認などのいわゆる柔軟路線を党の方針として採択した。しかし、党是である綱領はそのまま堅持し、当面の役割(暫定政権構想)と本来の役割(党綱領)という「二重の役割」論を打ち出して柔軟路線を正当化した。つまり、国民には当面の役割を、党内では綱領路線の堅持を主張する、これこそまさに羊頭狗肉路線といえよう。

三中総は先の参院選での大躍進という「新しい政治局面」を受けて開催したもので、志位書記局長は共産党には「新しい質の政治的役割が求められている」として 1.自民党政治の根本的転換を目指す役割、2.当面の政局打開、現実政治を実際に前に動かす役割――の「二重の役割」があると強調した。
不破委員長はこの「二重の役割」に応じて「二重の取り組み」を行うのが現在の発展段階に対応する党活動の基本姿勢と位置づけ、三中総は「二重の役割」論を党の正式方針として決めた。
すでに共産党は8月下旬に開いた常任幹部会で、暫定政権論を打ち出し、野党政権に参加する際には「日米安保条約破棄」を凍結することを決めていた。また不破委員長は9月に入って日本記者クラブで講演、暫定政権下での天皇制容認を明らかにしていた。
「筋を曲げず現実にも対応」の詭弁
不破委員長によると、この暫定政権構想は共産党の当面の政権構想「民主連合政権」の前段階にあたり、「国民の圧倒的多数が望む課題を実現する」ための「よりましな政権」という位置づけ。同政権下で共産党は「安保条約にかかわる問題は凍結する」「天皇制は容認する」としている。
これらの暫定政権構想を理論づけるために三中総で持ち出してきたのが「二重の役割」論といえる。つまり、志位書記局長によれば「筋を曲げないで頑張ってほしい」「現実政治を動かしてほしい」という両面の要求に応えるために「原則をゆるがせない、同時に現実政治を動かすために思い切った弾力的な対応を図る」というのが、「二重の役割」論だ。
だが、これが羊頭狗肉でなくてなんだろうか。 たとえば「安保凍結」論。一般国民は「共産党も野党政権に加われば安保反対を言わず現実的になった」と捉えており、これが羊頭。だが実際の共産党の凍結論は安保破棄への条件闘争論にすぎない。
凍結論も一皮むけば破棄の条件闘争
実際、志位書記局長は三中総で次のように述べている。
「ガイドラインなど安保改悪の流れのなかで『凍結』の合意をつくること自体が『よりまし』の実質をもつこともありうる重要な意義をもっている。世論と力関係にそくして、安保条約に関連する問題で(他党)双方の協議によって、一定の部分的改良をかちとる可能性を積極的に追及することは言うまでもない」(三中総・幹部会報告)
つまり、共産党の安保凍結論は同党だけでなく、暫定政権の他の与党にも凍結を押し付けることによって、実質的に安保空洞化を勝ち取ろうという魂胆なのだ。本音は狗肉(安保破棄)のほうにあるのは明白である。
ところで不破委員長は三中総で「(共産党は)いま『天皇制打倒』という方針をもっていない。これは戦前、絶対主義的天皇制の時代の党の戦略方針であって、戦後、新しい憲法ができ、またいまの綱領を決めて以後は、わが党には『天皇制打倒』という方針はない」と述べている。
天皇制容認論は党綱領の路線であると言わんばかりだが、これこそ国民ばかりか党員まで愚弄する発言だろう。綱領では現行憲法は「天皇条項などの反動的なものを残している」として「君主制を廃止し、反動的国会機構を根本的に変革して民主共和国」を作ると明記しているからだ。
とまれ共産党の羊頭狗肉には厳重警戒が必要といえよう。


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