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米大統領一般教書演説の5分の1を省いた朝日新聞

思想新聞2002年2月15日 【マスコミ論壇ウオッチング】

 わが国では、時の内閣総理大臣が、年の初めにその内閣の基本的な政策の大要を施政方針演説として衆参両院で発表するが、米国でも同様に、大統領が上下両院議員と政権の主要メンバーを前に、その年の政権の政策の基本方針を一般教書演説をつうじて国の内外に明らかにする。

 今年のブッシュ大統領の一般教書演説の内容は、昨年9月11日に起きた同時多発テロと、その後のアフガニスタンを主な戦場とするタリバン政権打倒の戦いとアルカイダ掃討作戦の勝利をふまえ、対テロ戦争についての同大統領の姿勢に世界中が注目していただけに、高い関心が寄せられた。

 ブッシュ大統領は演説で、世界的なテロ支援国家としてイラン、北朝鮮、イラクの三国を「悪の枢軸」と決め付け、それらの国々武装解除を言明したことから米国のみならず、国際的にも賛否両論の大きな論議をよぶことになった。

 共和党の先輩大統領で、今年91歳になるレーガン氏が政権発足早々、当時のソ連を「悪の帝国」と呼び、対ソ防衛のためにおおがかりな軍事力増強に乗り出したことになぞらえて、外交を単純化しすぎると批判する人もいるようだ。

 ところで、アメリカで夜、行われるこの一般教書演説の内容は、わが国では各紙の夕刊にその要旨が掲載されることが多い。 それも、時差や新聞の締め切りの関係からだろうか、各紙とも報道機関に配布された内容を要約して載せているようだ。

 今回のブッシュ演説を日本の新聞として最も長く載せた『朝日新聞』1月30日付の夕刊にしても、上下十三段という分量が載ってはいるものの、演説の最後の部分、全体の五分の一の内容は、残念ながら掲載されていない。

 また、NHKの衛星放送やCNNで同時中継される当日の演説の内容と、各紙に掲載されている演説の要旨をすり合わせると微妙な違いが見出される。

 明らかな誤報とはいえないまでも、今日、好むと好まざるとにかかわらず、国際政治に決定的な影響を及ぼすアメリカの大統領の施政方針演説が、不完全なまま、また誤りを正されることなく報道されていることは無視できない。

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