思想新聞 平成9年(1997年)4月15日号
Q–週刊新潮(4月10日号)の連載コラム「聞いた日本 見た日本」で、バロンズ・ウィークリー東京特派員のニール・マーティン氏という人物が「日本共産党礼讃」との見出しの記事を書いています。その中で「共産党はジャーナリストの最良の友」とまで言っていますが。
A–マーティン氏はこのコラムで日本社会について「重要な社会的、政治問題について、真の意味での公開討論はほとんどなされず、合法的で影響力のある野党勢力は皆無、おまけに古くさい時代遅れな、社会的、文化的因襲が、目下のさし迫った問題に対する公的な反論も、いかなる種類の真剣な討議も阻んでしまう」との考えを述べています。どうも日本社会のあり様にいらだっているのでしょう。
Q–しかし、「わたしのような一外国人ジャーナリストにとって、日本共産党の支持者、党員および理論家は、見つけにくい情報や対立意見を教えてくれる、唯一のニュースソースであることが多い」と言っているのには驚きますね。唯一とは、よほどニュースソースが少ない特派員なのでしょうか。
A–いくら日本社会がわかりにくいと言っても、政党を唯一の情報源とするのは実に危険な発想と言わざるを得ません。政党そのものに関する情報ならまだしも、その他のニュースに関しても政党に依存するという神経は、まともなジャーナリストのすることではありません。なぜかと言えば、政党には必ずと言ってよいほど党派性がつきものです。自分に都合のよい情報は流しても都合の悪い情報は流さないものですし、提供する情報そのものも歪曲されている場合が往々にしてありますからね。
Q–この特派員は同欄に昨年夏に書いた大阪港開発計画についての記事は、かなりの部分が大阪市議会の日本共産党議員団の事務局長から得た情報に基づいていると書いていますが。
A–共産党だけが野党の大阪市議会ですから、共産党が批判的な情報を持っていることは事実でしょう。しかし、その情報が「一方的でPR的な市当局の誇大宣伝に対抗する、唯一『真実の』情報源となってくれた」と述べているのは、複数の情報源を得ることのできなかった自らの取材の怠慢を白状しているようなものです。そもそも共産党の情報は何に基づいているのか。市当局の資料からの掘り起こしなのか、市の内部からの極秘情報なのか、それとも捏造情報かもしれない、そういった情報の第一源を探ろうする姿勢がこの記者には皆目見られません。情報の検証というジャーナリストの基本すら放棄しているかのようです。
Q–この記事では「政府あるいは『体制』によってあらかじめ準備されたり、検閲を受けたりしていない情報に興味のある日本人は、将来、ジャーナリストと同様、『共産党は市民の最良の友たり得る』と、思うにちがいない」とも述べていますね。
A–この人物は、政府や「体制」と同様に共産党も情報をあらかじめ準備したり検閲したりしているかも知れないとは考えないのですね。よほどのお人好しか、シンパです。共産党員、ましてや事務局長ともなると、党の規約に基づいて上部に報告してジャーナリストと会っているのですよ。情報はつねに党派性を持っているのです。まあ、このような人物は共産党にとって「最良の友」です。


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