この記事は2014年12月1日に投稿されました。
アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が開催された北京で、約3年ぶりとなる日中首脳会談が行われた。これまで中国の習近平国家主席は会談の条件として、「安倍総理が靖国参拝を行わないと明言」「尖閣諸島に領有権の争いがあると認める」ことなどを要求したが、安倍総理がこれに応じなかったため、長い間会談が行われてこなかったのである。
ところが今回習氏は、日本側が二つの条件を譲らないままであるにも関わらず、会談に応じた。この背景には「ホスト国としてのメンツが潰れる」「中国の景気が悪化する中、これ以上日本からの投資を減らすわけにはいかない」などの理由があるといわれる。習氏の政治基盤がいまだ確立されていないことも伺える。
さらに言えば今後中国は、二つの問題で日本を非難しづらくなるだろう。会談が行われたということは、中国国内では「日本が態度を変えたから実現した」と報道されているはずだ。それなのに非難を繰り返せば、矛盾してしまうからだ。
いずれにせよ日中首脳会談は行われた。このことが、日中関係のみならず東アジア情勢に大きな影響を与えることは間違いない。
韓国の変化
その劇的な変化は、まず7時間後に現れた。同じ日の歓迎夕食会で、朴槿恵大統領が隣の席に座った安倍総理と実に8ヶ月ぶりに話し合ったのである。二人が隣の席に座ったのは、国名のアルファベット順に席が配置されたためだった。まさに「サプライズディナー」(NewSphere11月12日)である。話し合いでは、慰安婦問題等を扱う外務省局長級協議の円滑な前進を促すことで一致し、北朝鮮問題や世界経済についても取り上げられた。
そしてさらにその3日後のである。朴大統領は日中韓の首脳会談を「条件なし」で行うことを提案した。これまで朴政権は、いわゆる従軍慰安婦問題に日本が「誠意ある対応」を示さなければ会談はできないといってきた。これを覆すというのだから大転換である。もちろん安倍総理は、即座に「早期に実現したい」と応じた。
これまで中国と韓国は、対日外交で連携してきた。両国ともに「歴史認識で日本が譲歩しない限り、対話は行わない」という立場をとってきたのである。しかし日中首脳会談が実現した今、韓国だけが日本との会談を拒めばむしろ韓国が孤立しかねない。安倍政権は「地球儀を俯瞰する外交」で、歴代政権で最多となる50か国を訪問した(歴代2位は小泉政権で5年5か月で48か国)。アベノミクス成功のためのトップセールスという狙いが強調されているが、安倍政権が掲げる積極的平和主義に対する支持を取り付け、中国包囲網を形成するという目的もあった。
長期的な視野が必要だ
韓国内では、今回の訪中期間に行われた韓国の対米、対中外交を比較し、朴槿恵政権が「中国傾斜」しているとの批判の声が上がった。「朴大統領は北朝鮮問題で危機が迫った場合、 中国と取引をして解決することができると考えている」(朝鮮日報11月13日)と話す与党幹部もいる。
朴大統領が首脳会談を提案した背景には、こうした批判をかわす狙いがあったのだろう。経済界には、日本との関係改善で難局を打開すべきだとの意見も根強い。
しかし韓国内では、依然として歴史認識問題に対する風当たりも強い。朴大統領が日韓首脳会談ではなく、あえて日中韓の首脳会談を提示したのは、もし歴史認識で日本の譲歩をまったく得られなければ、厳しい追及を受けると考えたからだ。
両国ともに難しい国内事情を抱えているが、長期的に見れば日韓両国の関係改善が極めて重要なことは言うまでもない。政府には中国に続いて韓国との首脳会談を実現してもらいたい。そのためには韓国内の変化を細かく注視することが必要だ。
2014年12月1日


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