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客観報道より「情」に訴え全体像を見失った「朝日」

思想新聞2003年4月15日号【マスコミ論壇ウォッチング】

 3月20日に勃発したイラク戦争についての戦況報道は、それまでの「イラク問題」解決についてと同様に、わが国の巨大メディア固有の報道姿勢がそのまま色濃く反映するものとなっている。
 いうまでもなく、わが国のメディアは東京で発行されている新聞の系列に従って、「読売新聞・日本テレビ」、「産経新聞・フジテレビ」という保守系グループ、「朝日新聞・テレビ朝日」、「毎日新聞・TBS」という左派系、さらに「日本経済新聞・テレビ東京」という独自のグループというように、新聞社とテレビ局が密接な関係にある。
 今回のイラクの武装解除問題とその後のイラク戦争に関する報道においても、テレビ報道がそれぞれの系列の新聞とシンクロしていることが明らかだ。 
 反米的な傾向の強い、「朝日新聞」と「テレビ朝日」、「毎日新聞」と「TBS」においてその傾向が顕著だが、特に両局では、ニュース・ショーにかねてから反米的な言辞を弄してきた「軍事評論家」をコメンテーターとして登場させたり、努めて客観的な見解を述べようとするゲストのコメントの腰を折ったりすることは良く見受けられることである。
 また新聞が社説や解説で、それぞれの社論に沿った見解を掲載することは、新聞に言論機関としての一面があるためにやむを得ないとしても、写真の掲載の仕方によって今回の戦争の意味や戦局への評価について読者を導こうとしていることには憤りを禁じ得ない。
たとえば4月5日、米軍がバグダッド市内を威力偵察した後、6日、イラク中部のカルバラでフセイン体制の崩壊を象徴するフセイン像が倒されたのだが、「読売」と「産経」両紙は翌7日付の朝刊の1面にその写真を掲載した。
 ところが、「朝日」は同日の朝刊の1面に、「バグダッドで、米英軍の攻撃で破壊されたパン屋の前で泣くイラク人女性」という写真を掲載した。
 非道なフセイン体制の崩壊よりも、その途上で起きた「悲しい」事件の方が伝える価値があると「朝日」が判断したとすれば、同紙がこの戦争に批判的だったことから当然のこととはいえ、あまりに全体像を見失った態度といえよう。

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