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ようやく始まった北朝鮮めぐる発言の検証「索引」

思想新聞2002年11月15日号【マスコミ論壇ウオッチング】

 あまりに無責任な発言が新聞雑誌テレビといったメディアで垂れ流されることを憂慮した知識人が、日本を「索引のない国」と評したことがあった。
 過去にある人が、特定の問題について発言していても、そのことを誰も記憶していなければ、その時そのときの時流に合わせて適当なことを述べたとしても、誰からも非難されることも、発言に対しても責任を問われることもない。
 このような風潮に、一人立ち向かってきたのが、元「朝日新聞」記者で、『週刊朝日』副編集長を務めた稲垣武氏だ。戦後の言論界や世論をリードした「進歩的文化人」の責任を厳しく追及した労作、『悪魔祓いの戦後史』は、稲垣氏の手による戦後思想史の「索引」ということになろう。
 ところで、事件発生から四半世紀足らず、加えて犯人が犯行を自供し、さらわれていた人たちの一部が生きて帰ってきたことで、北朝鮮による「拉致疑惑」は拉致事件となって、真相解明の気運が高まっている。
 と同時に、この北朝鮮の蛮行について政界、言論界での発言について検証が始まっている。
 日朝首脳会談直後、拉致事件を追い続けてきた産経新聞の阿部記者、朝日放送の石高ディレクター、元共産党国会議員秘書の兵本達吉氏について記事を載せた雑誌『SPA!』は、「メディアが黙殺した『拉致事件』」二十五年間の封印を解く!!」と題する特別編集ブックレットを発行した。
 その中で、「『拉致事件』で『政治家』『外務省』『メディア』は一体何を言ってきたのか!?」との章を設け、社民党の土井党首、村山元首相、共産党の志位委員長らの過去の発言を取り上げ、その真意を糾している。
 『諸君!』12月号では、稲垣氏が「“北朝鮮族”の断末魔」という論文で、「北に憑かれた愚者の妄言」を徹底的に検証している。
 また『正論』12月号でも、元防衛大教授の柿谷勲夫氏が「『媚朝』家たちの北朝鮮礼賛・迎合発言集」という記事で同様の検証を行っている。
 さらに興味深いのは、テレビでも当初『産経』のスクープを公安が書かせていると疑っていながら、九〇年代に入るやキャスターを務めた「テレ朝」系の『ザ・スクープ』で北朝鮮問題を執拗に追跡してきた鳥越俊太郎氏が、北朝鮮への帰国事業の暗部についても追求し始めたということである。

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