1億5000万人以上を「粛清」した思想
思想新聞 2000年1月25日号
シリーズ Q&A 共産主義は間違っている!!
ベルリンの壁が崩壊して10年を経たが、共産主義はいまだ日本で徘徊し、国民の価値観を揺るがしている。とりわけ日本共産党はさまざまな「厚化粧」を施して共産主義を浸透させようと躍起となっている。そこで共産主義が間違いであることを改めてシリーズで紹介する。

新ミレニアムはマルクスの亡霊退治から
Q
マルクスは、過去1000年の最も偉大な思想家(BBCのホームページ上投票結果より)だって?
A
マルクスの亡霊は、なかなか世界から立ち去らない。立ち去らないのが亡霊? しかし放置できない。「ミレニアム企画」としてイギリスBBCのホームページ上で、「1000年代における最も偉大な思想家は誰か」という投票を呼びかけたところ、マルクスが一番だったというのだ。他のマスメディアでも同じような企画ものがあり、10番以内にマルクスの名前が出てくることが多い。
日本共産党がこれらの結果を放っておくはずがない。党の機関紙「赤旗」(1月4日)には、「不破哲三共産党委員長に聞く」というスタイルで対談記事が掲載されているが、このニュースをまっさきに扱っている。

不破氏いわく、「20世紀の90年代の初めには、ソ連の崩壊で、社会主義はもうダメだとか、マルクスなどもう古いとかさんざんいわれたものですが、いよいよ2000年を目前にして、過去1000年をふりかえってみると、イギリス人を初め世界各国の多くの人がマルクスが『最も偉大な思想家』だったと認める。これは、科学的社会主義というものの、未来に向けての強さ、大きさを示したものだと思いますね」。
しかし、BBCのホームページ上の言葉には「勝者カール・マルクス」とあって、さらに次のように説明している。「カール・マルクスはおそらく19世紀に登場した最も影響力の強い社会主義者である」。要するに、「最も偉大な思想家」という意味は「最も影響力の強い社会主義者」であったということにすぎないのだ。確かに、結果として1億5000万人以上の粛清を初めとする共産主義の犠牲者を出したのだから、「影響力の強い社会主義者」であったことに間違いはないわけだが。
Q
マルクスの思想は、社会、経済、政治、歴史など極めて広範囲の問題を扱っているが、一番主張したかったこと、一貫していた主張は何?
A
前述の赤旗掲載記事の中にある、マルクスに言及している内容をとり上げてみよう。聞き手(庄子正二郎赤旗編集局次長)の初期マルクスに言及した質問(初期マルクスが本当のマルクスであるとの議論について)に対して、不破氏は「一言でいうと、『初期マルクス』というのは、一時はやりましたが、マルクスにとって、ほんとうに気の毒な議論なんですよ。マルクスは、生涯にわたって退化しつづけた、最初の、まだ勉強しない頃が一番よかった、という理論ですからね」と答えている。要するに、初期マルクスは未熟な段階であり、後の勉強によって理論的に「進化」していったのだから、後期マルクスこそ本当のマルクスだといいたいのだ。
初期マルクスで強調されていて、後期マルクスにおいてそれほど強調されていないものの一つが、徹底した宗教批判である。それでは、マルクスは後の勉強によって宗教批判にそれほど重要性をおかなくなったのだろうか。資本家階級を打倒する革命実践がすべてであり、宗教批判は二の次ぎとなったのだろうか。この点の理解が曖昧であるところから、一部の宗教者が共産党と連携するなどといった事態が起きるのだ。
ここで「本当のマルクス」についてはっきりさせておきたい。初期も後期もマルクスの考え方の本質は変わってはいないのだ。それは徹底した宗教批判である。初期マルクスの有名な言葉がある。「宗教は人民のアヘンである」(「ヘーゲル法哲学批判序説」)がそれだ。後期においてもこの点はまったく変わっていない。
マルクスの晩年、1875年(後期マルクスの遺産資本論第一巻執筆後である)に著された『ゴーダ綱領批判』で、マルクスは次のように記している。
「『良心の自由』を認めることは、とりもなおさず『宗教的良心を保障する』ことを意味する。しかるにプロレタリアの党がなすべきことは、何よりもまず、『宗教的亡霊から良心を解放すること』でなければならない」
このように、青年マルクスも晩年マルクスも、変わってなどいないのである。戦闘的無神論は一貫しているのだ。だからマルクスの亡霊を消すためには、宗教者がしっかりしなければならないし、共産党と手を結ぶような宗教者は「偽者」であることを再確認する必要がある。
にもかかわらず、この2~3年、各種選挙における共産党の得票率上昇は驚異的である。機に乗じて保守層きり崩しのため、共産党は宗教界に触手を伸ばしている。これは今に始まったことではないにしても、最近は露骨でさえある。それを何とも思わない世の風潮が危険極まりない。1998年5月、「全国宗教人・日本共産党を支持する会」が発足。同会を「共産党と宗教人のかけ橋」と位置づけて、宗教界内部にいる党員やシンパを総動員して宗教界の切り崩しを目指そうとしている。だから今こそ宗教人よ、マルクスの亡霊退治に立ちあがれ!


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