この記事は2010年12月11日に記述されました。
情報保全検討委員会は主客転倒した議論に陥るな
「政府における情報保全に関する検討委員会」(委員長・仙谷官房長官)は9日、情報漏えいに対する罰則強化の法整備などの検討を始めた。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ流出を受けてのものだ。だが、情報漏えいで最大の問題は外国スパイを野放しにしていることだ。
法治国家かつ民主国家であるわが国は、罪刑法定主義をとっており、何人も法律の定める手続きによらなければ、刑罰を科されることはない。それゆえスパイ防止法がないことによって「スパイ天国」に陥っている。海外の民主国は刑法や機密保護法などに「スパイ罪」を設け(例えばスウェーデン刑法6条)、スパイ活動を取り締まっているのである。そのうえで機密保護法などの法整備を行い、何が「防衛機密」や「外交機密」なのかを明示し、その保護措置をはっきりさせ、秘匿の必要がなくなった場合の解除規定を設けている。そのことによって行政側の恣意的な情報隠しの「裁量」も防ぐことができ、「情報公開」と「機密保護」の整合性が図れるのである。
検討委員会では守秘義務の対象となる「機密情報」の範囲や機密指定の期間、情報に接触する関係者の制限やセキュリティークリアランス(身辺調査)の導入などを論点にするとしている。また国家公務員法は情報漏えいに対する罰則を「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」と規定しているが、自衛隊は「5年以下の懲役」と定めており、国家公務員のる自衛隊法などより軽く、「抑止力が十分でない」としている。こうした論議の前に、スパイ防止法の制定論議を進めねば、真の機密保護に至らない。主客転倒の論議であってはならない。
2010年12月11日
スパイ防止法とは
第一条(目的) この法律は、防衛秘密の保護に関する措置を定めるとともに、外国に通報する目的をもって防衛秘密を探知し、若しくは収集し、又は防衛秘密を外国に通報する行為等を処罰することにより、これらのスパイ行為等を防止し、よって我が国の安全に資することを目的とする。
キーポイント
世界いずれの国にもあるスパイ行為を取り締まる法律。我が国になかったことから、スパイ天国となってきた。防衛秘密の保護に関する措置を定め、スパイ行為を防止することによって日本の平和と安全を守るのが立法の趣旨だ。現行では国家公務員法、自衛隊法などの公務員の守秘義務だけ、あるいはスパイ行為に付随する行為(電波法や出入国管理法など)だけで取り締まっており、コソ泥並みの軽い刑罰にすぎない。スパイ行為そのものを摘発する法律となる。


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