思想新聞 平成9年(1997年)1月25日号
Q–衰えたりとはいえ宮本顕治議長は共産党の党首でしょう。それにしてもこれほど長く同じ人物が党首に座っているなんて。
A–会社でいえば、宮本議長は代表権を持つ会長で、不破委員長はその下にある社長というところでしょう。一種のオーナー会長なのです。宮本議長が党の実権を握ったのは昭和33(1958)年の第7回党大会のことです。といっても、当時は主流派と呼ばれた古参党員がまだ残っていました。独裁体制を築いたのは次の第8回党大会(昭和36年)のことで、この大会で宮本路線を確立しました。
Q–確立したというのはどういう意味ですか。
A–宮本綱領と呼ばれる党綱領を定めたことです。共産党にとって綱領はいわば憲法です。宮本議長が考える綱領は7回党大会では反対が多く決定できなかったのです。反対派を除名したりして、いわば子分たちで組織を固め、ようやく思い通りの共産党をつくったというのが、8回党大会です。
Q–それ以来、党首なのですか。35年以上ですね。金日成が死亡しましたので、おそらく現在では世界最長の現役党首ではないでしょうか。それにしてもなぜ、こんなに長く出来るのですか。
A–これが共産党の仕組みです。ユーゴスラビアの副大統領だったミロバン・ジラスという人が『第三の階級』という本の中で述べていますが、共産党はその思想と組織原則から必然的に独裁に陥るようになっています。というのは階級史観に立つからです。つまり、ブルジョワジー(資本家階級)を打倒してプロレタリアート(労働者階級)の世界をつくるには、プロレタリアートの「前衛」である党が指導しなければならない。そして、ブルジョワジーの反革命を阻止するプロレタリアート独裁(執権)政権をつくらねばならないと言います。一種の軍隊組織が前衛党です。
Q–前衛党というのが共産党ですね。民主主義の党ではないのですか。
A–そうです。階級闘争を進める党ですから、軍隊のように命令・服従の関係が明確になっていないといけません。なにせ「敵」がいると考える組織ですから、秘密もあれば非公然な部分もある。それが共産党の党観です。ですから党の規約では「組織原則は民主主義的中央集権制である」と明記しているのです。
Q–民主主義的中央集権制ってなんですか。
A–最高機関は党大会ということになっていますので一見、民主主義のようです。しかし、一皮むくとまったく違います。党大会を構成する代議員は結局、中央委員会が決めるシステムです。その中央委員会の人事権は党の最高幹部が握っている。党大会が開かれていないときは中央委員会、中央委員会(これも1年に数度です)が開かれていないときは幹部会、幹部会が開かれていないときは常任幹部会が責任を持つという具合に、結局、党首が最高権力を握れる仕組みになっています。上部組織に絶対服従というのが、共産党の組織原則なのです。
Q–なるほど、それが中央集権の意味ですね。それでいずこの国の共産党も一人独裁がまかり通っているわけですね。


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