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椿局長発言とテレビ朝日の二つの「偏向内容」

思想新聞2004年3月1日号【マスコミ論壇ウオッチング】

 わが国では長い間、時の政府の中枢である首相官邸からはじまり、各省庁、さらに各種の業界団体に至るまで「記者クラブ」が存在し、そのルートを通じて提供される情報をもとに記事を作成したり、番組を制作してきた。
 そのために、わが国のメディアは言論機関というよりも、報道機関あるいは政府や各種業界の広報機関という性格が極めて強かったのである。
 メディア自体がこのような性格をもっているために、新聞社やテレビ局は政治家や企業を批判することはあっても、同業他社を批判することは極めて稀だったのである。
 しかし、このような慣行は1993年(平成5年)、「テレビ朝日」の椿貞良報道局長(当時)が「非自民政権が誕生するよう指示していた」ということを「産経新聞」がスクープしたことによって風穴があけられたのである。
 椿報道局長の発言は、同局長が国会に呼ばれ、証言を求められるなど、大きな波紋を呼んだ。
 ところが、今回「テレビ朝日」が「TVタックル」と「ニュースステーション」で相次いで偏向した内容を報道したことに対して、関係者を処分したことが報じられた。
「TVタックル」の方は、自民党総裁選の候補者の一人であった藤井孝男議員の発言を巧妙につなぎあわせたもので、結果的に藤井議員の評価を傷つけることになった。同番組はバラエティ番組でありながら、スパイ防止法や憲法改正問題など硬い内容を正面から扱ってきただけ、残念といわざるを得ない。
 これに対して、「ニュースステーション」の場合は、総選挙の期間中に民主党が勝利して政権交代が実現した場合の新政権の閣僚名簿を紹介するなど、一方的に民主党に肩入れした番組づくりをしていたことが問題になったものだ。もっとも、こちらの方は、「テレビ朝日」の報道局に、いわば椿局長の「遺訓」が、見事に“引き継がれている”ことを明らかにすることになったのである。

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