国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 最新の主張はこちらから

周辺事態法案の早期制定を

思想新聞1998年10月15日 主張

 日韓首脳会談で金大中大統領は北朝鮮のミサイル発射事件について「韓日米三国が半島の安定のために共同対処していくことが肝要だ」と強調し、小渕首相もこれに同調した。いまほど日韓米の安保体制を堅固にしていく必要性が高まっているときはない。その自覚があるなら、なぜ国会は周辺事態法案を棚上げにしているのだろうか。

韓半島の安全保障に不可欠な法案

 今回の金大中大統領の訪日によって、韓国の対北朝鮮政策、いわゆる「太陽政策」はより鮮明になって日本政府に示された。
 その第一の柱は、日韓共同宣言にも盛り込まれているように「1992年2月に発効した南北間の和解と不可侵及び交流・協力に関する合意書の履行」である。つまり南北対話を推進しようというものだ。
 第二には、北朝鮮を国際舞台に引き出すために民間交流や経済援助を推進していこうというものである。金大中大統領は、NHKのインタビュー(10月8日)で北朝鮮内部に強硬派と穏健派の対立が存在するとの認識を示し「穏健派を助けていくことが大切」と語っている。
 これが一般的に「太陽政策」と呼ばれるが、金大統領は同インタビューで「確固たる安全保障の確立が全ての前提。付け入る隙を与えてはならない」と再三強調している。だかこそ、日韓共同宣言でも日韓米の三国の密接な連携がうたわれてたのである。
 対北朝鮮政策は安保確立が大前提との認識は米国とて同様である。
 米国は北朝鮮の核開発疑惑に対して、95年に軽水炉を提供する朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を発足させ、さらに米中韓朝の四者協議を軸に対話の場の拡大を図ってきた。対話を通じて北朝鮮の核・ミサイル開発を封じ込める考えなのである。その前提が北朝鮮に付け入る隙を与えない日韓米の安保体制の確立にあることは論を待たない。
 だからこそ、米国は日本に対して新しい日米防衛協力の指針(新ガイドライン)づくりを急がせてきたのだった。米国の北東アジアにおける軍事戦略は、沖縄の海兵隊や横須賀の第七艦隊などの在日米軍を要に韓国駐留米軍を支えるという形で展開されている。
 この認識があれば、日本は北朝鮮のミサイル発射を防備し、かつ韓国の「太陽政策」を支援して北東アジアの平和と安全を確保していく早道が、周辺事態法案の早期成立であることが知れよう。

金融だけが懸案ではないはずだ

 いうまでもなく周辺事態法案は、韓半島の有事の際に米軍が速やかに活動できるようにするための法律である。必ずしも万全ではないものの、これすら制定しない「無法状態」が続けば、それこそ北に付け入る隙を与えてしまう。周辺事態法案の制定は、北の軍事冒険主義を防ぐ、大きな睨みとなるのだ。
 また、周辺有事に備えて在外邦人救出の輸送手段として艦船を使用するための自衛隊法改正案や、平時に限定している米軍への物品提供を周辺事態にも拡大するための日米物品役務相互提供協定(ACSA)改正案も早急に制定されなければならない。
 なのになぜ、国会は周辺事態法案の審議すら行わないのか、理解に苦しむ。むろん、今臨時国会は経済危機に対応する金融関連法案が最大の焦点になっていることは分かるが、金融だけが懸案事項ではないはずである。
 周辺事態法案の早期制定を目指して、与野党とも臨時国会の対応を改めてもらいたい。安全保障は隙を見せてはならないのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました