国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 最新の主張はこちらから

「自己抑制」でエイズ感染は激減する―上

思想新聞2003年7月1日【視点論点】

駐日ウガンダ大使
ジェームズ・ババ氏

ウガンダの秘策が世界へ

 ブッシュ米大統領が提唱する「エイズ対策緊急計画」法案が5月、議会を通過して成立。これはエイズ被害が深刻な南部アフリカ諸国とカリブ諸国に対し、5年間で150億ドル(約1兆8千億円)を支援するもの。共和党の要求で支援金の3分の1を「自己抑制」推進(結婚するまで性交渉しない)に充てることになった。これが実施されれば、コンドーム配布が主流の世界のエイズ対策を大転換するものとなる。
 大統領の計画はウガンダで成功したABC作戦がベース。Aはアブストナンス(自己抑制の奨励)、Bはビー・フェイスフル(信心深く、夫婦が貞節を守る)、Cはコンドーム(の使用)を三つの柱とし、わが国では成人感染率を30%から5.5%に激減させた。
 これに対し民主党リベラル派は、「ウガンダの成功例はどの国にも適応できるものではなく、コンドーム使用に重点を置くべきだ」と主張したが、既に南部アフリカ諸国からウガンダ・モデルを視察にやってきた。ボツワナは大統領自身が訪問、南アやザンビアの人々も問題解決の方法を学んでいる。それだけでなく、タイやインドからも学びに来た。
 ウガンダ・モデルを自国に適用するには、国情に合わせるのが必要だが、基本原則は、①問題に正面から取り組む②問題をオープンにする③対策にできるだけ多くの人々を巻き込む――ことが重要だ。
 ボツワナでは大統領自身が先頭に立ってエイズ対策に取り組み、人々に注意を喚起。これは大きな影響を及ぼすだろう。アフリカでは指導者の言うことを実常によく聞く。宗教や文化の指導者、そして政府首脳や閣僚の言葉には影響力がある。彼らがエイズについて語れば、人々は耳を傾ける。もし彼らが語らなければ誰も聞かない。ボツワナの大統領と指導者たちは、声を大にし真剣にエイズ問題を語っている。
 問題をオープンにすることが、解決に成功する第一の秘訣だ。もし問題を隠して公表しなければ、水面下で拡大する。これは今のSARS(新型肺炎)問題と同じ。中国では問題を隠したため、被害が拡大した。もしオープンにすれば他国からの援助が得られる。深刻な被害があるのに黙っていれば、誰も助けてくれないのだ。
 ウガンダでは成人感染率が五%まで減少したとはいえ、依然として深刻な状況だ。もし気を緩めれば30%に戻ってしまう。ボツワナ、レソト、スワジランド、南アなどの国々では軒並み30%を超え、最も高いジンバブエでは38.6%にも達している。これらの国々は外国からの支援なくしてエイズ対策に取り組むことは不可能だ。エイズは教育を受けた階層の人々、農業、工業の生産者、そして教師や看護婦にまで広まり、マンパワーを減少させている。
 自己抑制がエイズ防止に有効なのは真実だ。エイズは血液を通して感染する病気で、他の感染症と違い、接触や空気を通して感染することはないので、性交渉をしなければ感染しない。中には自分の性行為をコントロールできず、自分の配偶者への貞節を守れない人々がいる。彼らにはコンドーム使用を勧めるのもやむをえないだろう。しかし、第一の優先順位は絶対に自己抑制におくべきだ。もし自己抑制ができればエイズに感染することはない。
 自己抑制を普及させる最善の方法は、子供の頃からきちんと教えることだ。ウガンダではそれを行っており、小学四年生からエイズの恐ろしさを教えている。教育省と保健省が共同で行い、両親にも協力を呼びかけている。
 ウガンダでは80年初期のエイズ感染状況は極めて悪く、どの家庭でも一人はエイズで死んでいたほどだ。86年に政権に就いたムセベニ大統領が、エイズは最も深刻な問題だと考え、本格的な対策に乗り出し、エイズとの闘いが始まった。
 八八年に大統領は、「エイズは人殺しだ、治療法はない。だから生活態度を改めなければならない」と皆に告げた。大統領の強力な指導力の下、閣僚も必ずエイズの危険について話すようになり、また、すべての集会で必ずエイズの問題が取り上げられるようになった。政府首脳に加え地域社会の長老、教会指導者などのリーダーシップが決定的な役割を果たした。
 さらに著名人に協力してもらう。例えばエイズ感染を公表している有名なミュージシャンは、学校を巡回して話をした。「私を見なさい。私は不注意だったので、こんなことになった。私の音楽が好きかもしれないが、絶対に私の真似をしないで欲しい」と話すと、生徒たちは熱心に耳を傾けていた。(取材・協力=世界思想、文責・編集部)

コメント

タイトルとURLをコピーしました