思想新聞 1999年2月15日号 世界文化体育大典 詳報

2月5日午前中の全体会議では、今国際会議の副議長をつとめるエドワード・シュライヤー・カナダ前提督の紹介で登壇したアルバート・レイノルズ元アイルランド首相が講演。レイノルズ元首相は、「アイルランドでは家族への強い支援を憲法でうたっている。歴代政府の家庭重視の政策で、持ち家率が82%と極めて高い」ことを紹介した。
つぎに、同日昼の基調講演を行ったヘイグ元米国務長官は、経済が低迷するロシアで共産主義者が再び力を取り戻しつつあることを警告した。
ヘイグ氏は、「とくに米国の多くの人は、ソ連の崩壊を『西側の民主主義的価値観の勝利』によるものだと認識しているが、これは傲慢な考え方」と指摘。「資本主義というシステムが勝利しただけであり、ロシアは退廃した西側社会からも何も学んでいない」と強調した。
21世紀に問われる善悪の価値判断
夜の全体会議は、ウォリー・ウンダウ国連開発計画(UNDP)特別顧問が「家庭の強化における国連の役割」をテーマに講演した。ウンダウ氏は、「家庭は平和を可能にする持続可能な発展の前提条件である」と家庭の重要性を強調。これに対して、人類は21世紀を目前にして、科学技術・軍事・経済・政治などの外的・物理的な力の挑戦を受けており、それを克服するため「霊的ルネサンス」の必要性を説いた。
翌6日の全体会議では、アーノルド・ボルシュグラーブ米UPI通信社長が講演。冷戦後の世界の変化、情報通信革命の中での新たな問題とそれに対するジャーナリストの使命をテーマに語った。
同氏は米国で話題となった、クリントン米大統領との不倫関係にあったモニカ・ルインスキーさんをめぐる報道を例にとりながら、「現在のマスコミは下らないことに重要なエネルギーを消耗している。ロシアの大量破壊兵器流出など伝えるべきことがある」と訴えた。
また、インターネットなどによる情報革命によって、国際的な組織犯罪が急速に巨大化してきたことに警告を発し、「サイバー戦争という形で個人あるいはテロリストが国家と対抗するような状況が生まれつつある」ことを指摘した。
その上で同氏は、善悪の価値判断の重要性を強調、「技術の進歩のために、人間の自由と尊厳を引き換えにすべき時ではない」と締め括った。
会議ではこのほかにも、フォード米元大統領の令嬢であるスーザン・フォード・ベールズ女史らが講演した。
家庭強化のために諸施策を提案
一方、「家庭倫理と世界平和」をテーマに開かれた分科会のうち、世界平和連合および世界平和頂上会議が合同して実施した分科会は、2月5日午前に第一部、翌6日の午前に第二部が行われた。討議テーマは「21世紀に活力を与えるための経済的枠組み」で、21世紀に向けて社会の構成単位である家庭を強化するための様々な施策が提案された。
まず、5日の分科会第一部においては、旧ソ連科学アカデミーの有力メンバーで、現在ロシア連邦軍縮庁長官のユーリ・オシピアン博士が、「社会主義における家庭」と題して、マルクス主義イデオロギー下の旧ソ連における家庭、とくに女性を取り巻く環境について報告した。また、旧ソ連において子供たちの教育が国家によって推し進められた結果、イデオロギーによって家庭の秩序そのものが破綻させられた経緯を報告した。
さらにオシピアン博士は、旧ソ連崩壊後のロシアにおいては、急速に悪化する経済状況のもと、家庭を取り巻く環境が厳しさを増しているとして、家庭をめぐる経済的、法律的、社会的問題を研究し、解決の道を探るための国際的な研究機関「家庭と未来世界(仮称)」の創設を提案した。
つづく6日に行われた第二部の分科会では、世界平和頂上会議の事務局長で世界平和発展研究所所長のアントニオ・ベタンコート氏、米国シラキュース大学法学部教授のロバート・アシュフォード博士、さらに経済的社会的公正センター創設者ノーマン・カーランド博士らがパネリストとして参加。
会では、金融制度および税制を改革することによって、国家や巨大な金融資本ではなく、市民がより資本を所有しやすいようにすることで、経済を活性化できるとの提案を行った。


コメント