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2000年最大の政治イベント南北首脳会談

思想新聞 2000年6月15日号

世界平和定着の第一歩に!日韓米の連携と役割分担明確化を

 今年度最大の政治イベント、韓半島の南北首脳会談が、6月13日から15日まで北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の平壌で行われた。韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日国防委員長(総書記)が歴史的対面を果たし、会談を行った。
 今回の首脳会談は南北分断以来、55年ぶりに実現するものであり、南北双方とも、今後の相互関係の歴史的転換点になると期待される。また、世界中が、地球上唯一の冷戦構造が残る地・韓半島の推移をかたずを呑んで注目している。歴史的会談の背景を確認し、今後を展望してみよう。

 北朝鮮が南北首脳会談を受け入れたのは、韓国からの経済的支援ほしさであるとの論調が多い。しかし、それだけではないだろう。金総書記としては何よりも南北統一問題で主導権を握るという戦略的思考抜きにいかなる判断、決断もしないはずである。
 経済的には、93年に第三次七カ年計画を終了したが、食糧危機ゆえ経済事情が深刻となり、新計画は未だ立てられていない。だが、昨年から今年に掛けてようやく経済も底を打ったとみられ、再建に本格的に取り組み始めていると言えよう。
 権力継承後の不安定期を越え、ある程度の政権基盤安定を見るようになった今、政権の危機を今後とも回避しながら長期的戦略を遂行していくためには経済の再建が不可欠であると判断したと見ることができるだろう。
 日本とは国交正常化交渉を再開したものの時間が必要、米国との関係模索も対北朝鮮経済制裁緩和がなかなか進まない。首脳会談を契機に、否、それ以外に新たな展望を開くことができないと判断したと思われる。

驚くべき北朝鮮の外交攻勢

 会談合意発表後、再び金正日総書記の動向が世界中に駆けめぐった。金正日総書記(国防委員長)が5月29日から中国を秘密訪問し、北京で江沢民国家主席、朱鎔基首相と会談、31日に帰国の途についたのだ。
 訪中のねらいは何であったのか。それは「これから真剣に取り組まなければならない南北首脳会談・米朝交渉・日朝交渉の前に『背後を固めておく』必要があったこと、中国が台湾問題や世界貿易機関(WTO)加盟等をめぐり米国と渡り合うに当たって朝鮮半島問題解決の最有力な仲裁者という『切り札をもつ』必要があったことの交点にあったもので、当然の成り行き」(6月9日付産経新聞「正論」志方俊之氏)といえるだろう。

南北首脳会談に過度の期待は不可能

 首脳会談に対する周辺の期待は高まるばかりである。しかし、今回の会談は南北の最高指導者が分断後初めて対話すること自体に意義があるとの認識が必要であろう。過度の期待は禁物である。ここで、両首脳が再会を約束すれば大きな成果であり、新しい南北関係を築くきっかけとなることは間違いない。
 韓国政府は、南北首脳会談の目標を、「朝鮮半島における冷戦構造の解体」と「南北間の和解と協力を通じて平和共存体制を築くこと」と説明しているが、容易に達成できるものではない。今月はじめ金大中大統領が研究者らとの昼食会で、首脳会談について言及し「一回の首脳会談で全てのものを得られるとは思っていない。会談自体を成功裏に開催することが重要であり、欲張らない。また、韓半島に平和を定着させることが、当面、われわれに与えられた歴史的使命であるという点を忘れてはならない」と語り、継続への合意が得られれば成功との観測を述べている。
 すでに、再会談についての情報はある程度の確度を持って報じられている。というのは、6月3日、東亜日報が北京の外交消息筋の話として、金正日総書記が8月15日にソウルを訪問することを計画していると伝えたのである。これ(金総書記のソウル訪問)は、韓国の金大中大統領が13日から開かれる南北首脳会談のため、平壌を訪問することの答礼になるというものであった。

6者協議の場の設置と定例化を

 6月8日、ロシアの外交官関係筋はプーチン大統領が沖縄サミット(7月21~23日)を前後して北朝鮮を訪問する意向を明らかにした。すでに行われた中朝会談を重ね合わせると、韓半島を巡る構図は、冷戦時代のような中朝ロと米韓日の同盟関係が再構築されたようにも見える。しかし、中ロと韓国は国交を持ち、米日と北朝鮮は、国交正常化に向けて交渉を進めており、実態は冷戦時代と異なっている。
 肝心なのは、北朝鮮が責任ある国際社会の一員として行動するよう誘導することであり、そのために、日本、韓国、米国は緊密に協力しなければならないということである。三国間の役割分担が不可欠なのである。米国や日本が関係正常化交渉の中で核・ミサイル開発問題、人権問題により重点を置き、韓国は経済協力をすすめる。皆が全く同じことを同じ比重で交渉すべきではないだろう。さらに中国やロシアとも協議を続ける必要がある。中ロの警戒感を解き、建設的な協力を引き出さなければならない。六者(韓国・北朝鮮・日本・米国・中国・ロシア)協議の場設置と定例化の時期は到来している。そしてそれが冷戦の残滓を一掃し世界に平和を定着させる第一歩となると確信する。

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