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統一に向け再び動き出すか韓半島

思想新聞2001年6月1日号 1面

米・新国防戦略が本格始動
欧州から東アジアへ重点移動

EU代表団を率いて訪朝したペーション・スウェーデン首相(右手前)と歓談する金正日・北朝鮮総書記(左手前)。第2回首脳会談の実現へ意欲を見せた(5月3日、平壌)

 先月初め、米国のラムズフェルド国防長官がブッシュ大統領に新国防戦略を提示した。従来の「二正面戦略」(朝鮮半島とペルシャ湾地域、二つの大規模地域戦争同時遂行戦略)を転換するものとなっている。「欧州から東アジアへ」と軍事戦略の重心を移し、中国による台湾海峡封鎖阻止やホルムズ海峡航路確保などを目指しているといわれる。
 国際情勢の変化と米大統領選後の混乱による安保外交政策み直し作業の遅れが、国防戦略本格始動時期の遅れにつながっていたのである。6月15日で南北首脳会談から1年となる。朝鮮半島は再び動き出すのだろうか。
 パウエル米国務長官は5月14日、「米国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)間の対話は、政策の見直しが完了してから、我々が選択する時期と場所で再開する」と述べた。み直し完了時期については、5月末から遅くとも6月一杯であるとアーミテージ国務副長官は明らかにしている(5月訪韓時)。

米・政策み直しが南北交流を停滞?

 3月初旬に行われた米韓首脳会談後の記者会見において、ブッシュ大統領は「北朝鮮指導者への懐疑」を表明した。北朝鮮は、その直後開催される予定(13日)であった南北閣僚級会談への不参加を一方的に通告、3月15日の南北離散家族の書信交換以来、公式窓口を通じた交流は途絶えてしまったのである。
 北朝鮮の当初の戦略目的は「米朝正常化」である。南北交流もそのための手段であるとの姿勢が読み取れる。ブッシュ政権の政策見直し完了とその内容が注目されているのである。
 米政権による政策み直し完了時期とEU代表団・北朝鮮訪問とが重なった。去る5月2~4日、ペーション・スウェーデン首相を団長として平壌とソウルを訪問したのである。去る3月23日のEU首脳会議で、この度の代表団派遣が合意されたが、事前に北朝鮮からの働きかけがあったことが判明している。
国交の樹立をめざした訪朝であったが、前提条件として、(1)昨年6月の南北共同宣言の履行促進(2)ミサイル開発・輸出凍結の維持(3)人権状況の改善などを提示している。さらにEUとの経済交流も視野の中に入っていた。会談において金正日総書記が「2003年までミサイル発射実験を凍結」すると明言し注目された。代表団は引き続いてソウルを訪問し、金大中大統領と会い、金正日総書記から託された口頭メッセージとして(1)金大統領に対する個人的な友情とその政策への敬意(2)第2回南北首脳会談の開催を希望する(3)韓国からの食糧支援に感謝するの3点を伝えている。
 訪韓の時期について金総書記は明示しなかったとされる。その理由として米国の北朝鮮政策み直し作業が終わっていないことを指摘、米国の政策次第では訪韓を取りやめることもあり得ることを示唆したという。このような圧力を米国は嫌う。パウエル国務長官が「我々が選択する時期と場所で(米朝会談を)再開する」(5月14日)と強調したのはそのためであろう。いずれにせよ金正日総書記から「南北首脳会談」への意欲的発言が出たことの意義は大きかった。

日本の外交オンチ振りを露呈

 田中真紀子外相に会談をキャンセルされたことで、アーミテージ国務副長官はたびたびその名前がメディアに登場することになった。安保政策み直し完了と今後のアジア政策について共通認識を得る為にアジア諸国を歴訪中であったのだ。小泉首相や中谷防衛庁長官との会談は実現したものの、外相の会談キャンセル事件は、我が国の外交「オンチ」ぶりを内外に露呈してしまったといわざるを得ない。
 アーミテージ副長官は韓国中央日報とのインタビュー(5月11日)で幾つかの注目すべき内容を明らかにしている。(1)米韓間に意見の隔たりがあったのではなく、米国側に問題があった。大統領戦後の混乱により、外交安保チーム結成に時間がかかり、点検作業が遅れてしまった<足並みがそろわなかった背景について>(2)金総書記の「2003年までミサイル発射実験凍結」発言を肯定的に受け止める(3)米国が北朝鮮政権を変たり、北朝鮮の指導部を覆そうなどとは考えていない。それはコリアンの問題。北朝鮮がテロを輸出せず、米国の同盟国である韓国を威嚇しない限り、北朝鮮に干渉することはない(4)北朝鮮が米朝核枠組み合意(北朝鮮の黒鉛炉型原子炉を軽水炉型に転換するというもの)を守る限り、米国も合意を守る。しかし、内容の改善提示までも禁止はしていない、などである。これらの発言は、従来の「対話と抑止」を前提とする対北朝鮮政策に大枠での変更はないことをあらわしている。

第2回南北首脳会談は実現するのか

 すでに米朝対話への動きは水面下で進んでおり、北朝鮮の金桂寛外務次官が米民間団体の招待に応じるかたちで訪米する計画であるという。第2回南北首脳会談に関しては、5月4日、リチャード・バウチャー報道官は「米国は第2回南北首脳会談の開催を心待ちにしている」「現在進行中の米国での朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)関係の再検討が、南北対話の速度に影響を及ぼしてはならないとみている」と語っている。米朝交渉と第2回南北首脳会談実現の環境は徐々にではあるが整いつつあるとみていいだろう。
 一方、対中国政策は大枠での変更が予想される。従来の戦略的パートナーから戦略的ライバルとの位置付け変更は大きな意味を持っている。5月1日付ワシントン・ポストは、ブッシュ政権当局者の話しとして、同政権が核戦力政策の包括的み直しをまもなく完了し、一部の核攻撃目標をロシアから中国に移すとともに、戦略核弾頭を一方的に大幅削減する可能性があると報じた。さらに米露核戦略問題の権威として知られるブルース・ブレア氏は、新たな戦略指針により「恐らく、ロシア領内の核攻撃目標を50%減らし、中国領内の攻撃目標を100%増やす」ことになろうと見込んでいるという。
 米国の東アジア戦略は戦略的ライバルに対応するものとなろう。それは日本、朝鮮半島を中国の影響圏から切り離す戦術となる。東アジア地域において米国が最も避けたいことは、中国主導の朝鮮半島統一なのである。

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