この記事は2013年6月26日に投稿されました。
上海総合株価指数が24日、前週末の終値に比べ5.3%下落した。下落率としては2009年の6.74%以来約4年ぶりの大きさであり、中国市場には動揺が広がっている。
実は中国では、2年前から「2013年7月バブル崩壊説」が警告されていた。国務院発展研究センターの李佐軍研究員が内部報告で提示したものである。その大まかな内容は、胡錦濤政権時代の経済政策のツケが2013年の習近平政権発足後、数カ月で噴出し、民間企業や銀行、地方政府が相次いで経営破綻に追い込まれるというものだ。
不動産バブルの崩壊と地方債務危機の同時発生
「7月バブル崩壊説」を予言した理由はどこにあるのだろうか。
世界的な経済危機をもたらした2008年のリーマンショックで、中国政府は4兆元の財政出動をすることによって見事にV字回復を成し遂げた。この4兆元のうちの約7割は地方財政から拠出されたものだ。しかし地方政府にそれだけの資金力があるはずがない。この資金は、地方政府が「影の銀行」から借りた資金だったのだ。
「影の銀行」とは、中国で金融監督当局の規制を受けている銀行の融資以外の金融取引を指す。資金は地方政府の土地開発会社や経営不振企業に流れることが多い。個人投資家に対しても、年利10%前後の高利回りをうたった財テク商品を売っている。現在、「影の銀行」の総融資額は約24兆元(約383兆円)で、国内総生産(GDP)のほぼ半分に匹敵する。
中国の地方政府の財政は主に、税収と土地開発事業によって成り立っている。農民から土地を強制的に取り上げ、「影の銀行」から資金を借りて土地を開発する。ところが「影の銀行」の取引は中央の監督外にあるから、無駄な公共事業に使われることも多く、回収できない巨額の債務を生み出している。
リーマンショックからすでに5年が過ぎ、当時の融資の償還期が2011年下半期から始まっている。2013年の上半期末がそのピークだ。公共事業で利益をあげられない地方政府は、当然元金や利子を返すことができない。また、個人投資家向けの財テク商品も、6月末までに1.5兆元(24兆円)が償還期間を迎える。何の対処もなければ、資金がない「影の銀行」は次々と破たんするだろう。そうなれば、多くの地方政府や民間企業が債務危機に陥る可能性が高い。
さらに中国では、土地を転がして値段をつりあげる不動産バブルの規模も圧倒的だ。資金が不足すればこの不動産バブルもはじける。中国は大金融危機に見舞われるのだ。
「7月バブル崩壊説」を前に、実際中央政府は、リスクの高い「影の銀行」に資金が流入しないように金融引き締めを行った。銀行側は「人民銀行が助けてくれない」といったが、人民銀行は「野放図な融資を行ってきた銀行側が悪い」と言い返したのだ。結局中国金融市場には、「資金ショートで中小の銀行で連鎖破綻が起きる」といううわさが流れ、株価の急激な下落につながったのである。
習政権のかじ取りはいかに
習政権は、「7月バブル崩壊説」をどう乗り越えるのだろうか。
たとえ習政権が金融市場を慎重にコントロールしても、いずれ経済危機は中国に確実にめぐってくる。そのときに経済危機が起きれば、その責任は習政権が問われることになるだろう。しかし今経済危機が起きれば、その責任は前政権(胡錦濤政権)にある。習政権は、早めにこの金融危機を起こしてしまい、やりすごそうとしているのではないか。
また金融危機が起これば、マネーゲームにふける腐敗官僚を一掃できるという効果もある。もちろん一般市民の犠牲も大きいが、習氏としては、これを機会に政権運営を難しくしている既得権益層が消えてくれるのであれば望むところだ。
習氏が、「中国夢」などの強硬路線を高らかに宣言し続けているのには、こうした国内事情があるのかもしれない。中国の金融危機はどうしても避けられない。もっと言えば中国政府には金融危機を避ける実力がない。どうせ起こるなら早いほうがいい。そのとき既得権益層は反発し、国内には多くの暴動が起こるだろう。彼らの視線を政権批判ではなく、覇権の拡大に向けさせればリスクはより少ないはずだ。こうして習氏は、覇権主義を露わに打ち出しているのである。
しかし強硬路線は、対外的な摩擦を予想以上に産んでいる。習政権はいよいよ追い詰められているのだ。
いずれにせよ中国の金融不安は、中国が本格的に民主化されない限りその本質は変えられない。中国がいよいよ崩壊する、そんなときが近づいているのではないだろうか。
2013年6月26日


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