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少年法改正案、臨時国会成立へ

続発する少年凶悪犯罪への歯止めをめざして

【思想新聞2000年9月15日号】

刑事処分「14歳以上から」与党三党、議員立法として法案提出

少年バスジャック犯のスキを見て突入する広島県警とSAT(特殊急襲部隊)5月4日山陽自動車道の広島県東広島市内の小谷サービスエリア=産経)

 今月末、臨時国会が召集される見通しである。焦点の一つに「少年法の改正」がある。現在、自民、公明、保守の与党三党が提出をめざしている法案に、現行法では「16歳以上」と定められている刑事処分対象年齢の、「14歳以上」への引き下げが盛り込まれる見通しとなった。これまで、年齢引き下げに慎重な姿勢を示していた公明党が容認する方針を大枠で認めたことによる。与党三党は臨時国会冒頭にも議員立法として法案を提出したい考えである。今後、さらに細部を詰めた上で、具体的な法案策定作業に着手する。昨年の通常、臨時国会でも少年法改正案は提出されたが結果的に廃案となっている。しかし公明党が自民、保守に歩み寄ったことによって、少年法改正に向けて大きく動き出すことになった。

 17歳の少年による佐賀のバスジャック刺殺事件(5月)や15歳の少年による大分の一家6人殺傷事件(8月)などを初め、今年に入ってほぼ1カ月に一度のペースで凶悪な少年犯罪が続いている。そして、そのたびに少年法の改正が話題となってきた。一般的に、犯罪に関しては、刑罰をもって取り締まるものが法律であるとの認識がある。少年と成人の差は当然ながら、現行少年法はその点で時代に即応していないのではないかとの疑念がもたれているのである。

現行法が真実解明の壁

 まず、現行法における少年事件の法的手続きはどのようになっているのか、そしてその問題点を見ておこう。全ての少年(法的には20歳未満)犯罪事件は警察、検察官を経て、家庭裁判所に一旦集められ、少年の素質と環境、犯罪の重大さや反社会性、社会に与えた影響、被害感情などを、少年に対する社会的、教育的、心理的分析を考慮した上で刑事処分にするか、保護処分にするか、処分をしないかに振り分けている。
 現行少年法は、成長過程にあることを前提に保護処分が原則であり、刑事処分はやむをえないときに科される。問題は、刑法では14歳以上の少年に刑事責任を認めているのに、少年法では14歳、15歳の年少少年に対しては保護処分しかできない点にある。つまり、少年院送致、児童自立支援施設(旧教護院)送致、保護観察(社会内処遇)の処分しかない。16歳以上の少年に対しては刑事処分もあり得る(このとき、再び検察に送致されるのを逆送といっている)が、死刑を科すべきときは無期といったように刑罰が軽くなっている。18歳、19歳の少年に対しては死刑があり得るが、成人の場合と違ってできる限り死刑を科さないのが裁判の一般的傾向といってよい。
 さらに、他の問題として、少年をいかなる処分にするかは、家庭裁判所の審判(裁判)によってきまるが、その審判は少年の保護のため非公開とされ、しかも公益の代表者である検察官は関与できず、なりたての裁判官一人で処分を決めることができる仕組みになっている点が挙げられる。そして、この処分に対しては検察官は不服を申し立て(抗告)ができないのである。この仕組みは加害少年への配慮を前提にしているが、これではたして事件の真実に迫ることが可能かどうか。罪を犯した少年を真の反省に導くことは可能かどうかの疑念は拭えない。
 すでに紹介した与党による改正案は、現行少年法が、検察官から送致された少年を家裁が再び検察官に送り返して刑事裁判を受けさせる「逆送」は、16歳未満では認めないとのこれまでの制限を撤廃した上で、殺人や強盗など凶悪犯罪の場合は、14歳以上であれば家裁から検察官への逆送もあり得るとするものである。さらに与党案には、被害者の声を少年審判に反映させる措置や審判への検察官関与と上級審への抗告権付与も盛りこむ方向であるという。

健全育成が原点

 同法改正に反対する日弁連(日本弁護士連合会)や「人権派」を自称する勢力は、改正を厳罰化と位置づけ、それは「少年の保護、育成をうたった少年法の精神に反する」と主張する。しかし、少年法の根本精神は、第一条に記されているように、少年の健全な育成を期すところにある。そのために、「非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分をおこない、同時に少年及び、少年の福祉を害する成人の刑事事件についての特別の措置を講ずることを定めている」のである。
 つまり、少年の「健全な育成」こそ、同法が立ちかえるべき原点なのである。そのためには、責任能力を加味しつつも、犯罪(非行)に見あった処分をし、真実を明らかにしてこそ、善悪をわきまえる規範意識と真の反省心を醸成させることができるのではないだろうか。いかなる場合も、犯罪に対する償いは必要なのである。

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