この記事は2011年8月20日に投稿されました。
民主、自民、公明の三党が8月4日に、子育て支援策としての子ども手当は今年度一杯までとし、来年度からは所得制限を設け、児童手当を復活、改正するとことで合意した。ところが民主党党内で異論が噴出、「誤解しないでください!子ども手当は存続します」というビラを35万部も印刷し配布した。当然自民、公明が抗議し、岡田幹事長が謝罪して今後配布はしないと約束したのである。もはや民主党は政党ではない。政権政党がこれでは日本は滅びる。
「子ども手当」にこだわる民主党のイデオロギー
民主党がなぜ「子ども手当」にこだわるのか。これは単にネーミングの問題ではないのだ。価値観の問題、もっといえばイデオロギーの問題なのである。
民主党の09年衆議院選挙マニュフェストの目玉が「子ども手当」の給付であった。中学生までのすべての「子ども」に月額26000円を給付するという政策であり、総額5兆3000億円を超える財源が必要とされたのである。配偶者控除、扶養控除を廃止するなどが提示されていた。
批判するべきは多くある。なによりも財源なきバラマキ政策であるという点を上げなければならない。5兆3000億円という予算額は日本の防衛予算を上回る膨大な額だ。先の衆院選マニフェストには他に高速道路の無料化、高校の実質無償化、農家の戸別所得補償制度確立などがあり、必要財源は16兆円を越えた。無駄を省けば出てくるとの説明に国民は不安感をもちつつも、結果として政権交代を許したのである。
しかし、バラマキ以上に大きな問題がある。それは「子どもは社会が育てる」という考え方(イデオロギー)である。子どもは「労働者」であるとの考え方から生まれた一種の保証制度という思想である。社会(あるいは国家=労働者階級が権力を握っている国家)が直接子どもを育てるという主張により、家庭、親が排除されるのである。常識を越えた極めて危険な発想が根底にあるのである。
提言者は男女共同参画社会ビジョンの立役者大沢真理教授である。それは2002年までにさかのぼる。小宮山洋子議員を座長とする民主党の勉強会に呼ばれた大沢教授は、「児童」の最低生活を親の所得制限なしの手当で保障し、扶養控除、配偶者控除の見直すべきであると述べた。そして、日本国憲法では児童労働は禁止されており、教育の義務(義務教育)がうたわれていることを前提に、「子ども手当」を提言し、それは「出産奨励」・「育児支援」ではなく、また「少子化対策」でもないというのである。そして「子供は労働できるにもかかわらず、児童労働の禁止と義務教育で勤労の機会を奪われているのだから、国家が賃金を保証すべきである」と主張している。
「子ども手当」は日本の文化を崩壊させる政策
「子ども手当」政策は、子供達を歴史、文化、伝統、家庭から切り離して、労働者としての意識を自覚させるための政策、すなわち文化破壊の共産主義思想に基づく政策なのである。児童ではなく「子ども」という表記することは、保護、育成の対象ではなく権利の主体であるという意味をこめており、さらに給付に所得制限を設けないということは、子供を家庭の一員としてとらえるのではなく、一労働者として見るということである。それが、なぜ「子ども手当」という表記にこだわるのかという根本的理由である。この内容を民主党議員のどれだけが理解しているかはわからない。
去る8月4日の三党合意を受けた自民党本部の説明文には「所得制限を設けることにより、民主党の『子どもは社会で育てる』というイデオロギーを撤回させ、第一義的には子どもは家庭が育て、足らざる部分を社会がサポートする、という我が党のかねてからの主張が実現した」とある。この主張を高く評価し支持する。「子ども手当」のイデオロギーが日本を滅ぼすのである。
2011年8月20日


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