この記事は2013年5月11日に投稿されました。
韓国の朴槿恵大統領は7日、オバマ米大統領と初めて会談した。
北朝鮮問題に関しては、国際規範順守と非核化を粘り強く求めていくことで両者が一致した。会談後の記者会見で朴氏は、「北の脅迫と挑発を黙認することはない」とも述べた。
朴氏は4月、北が開城工業団地を閉鎖したことで多額の損失が生じ、「非核化」抜きに対話に応じようとした経緯がある。日米が北に対して強い態度で臨んでいる中、事実上韓国だけが「根負け」し、対話に前のめりになったのだ。
その後、米韓合同演習が終わり、北は日本海側に展開していた中距離弾道ミサイル「ムスダン」を撤去した。中国が初めて北に対して独自の経済制裁を行ったことも影響したと言う。北による脅威が減じられたことにより、朴氏が米国と歩調を合わせて強いメッセージを発信しやすくなったことは間違いない。
経済政策でぶれる朴政権
朴氏の韓国内における政権基盤は決して盤石ではない。
朴氏が大統領選で国民から最も求められたのは、行き詰った韓国経済を何としてでも打開してほしいということだった。そのために朴氏が大統領選で訴えたのは、「創造経済と経済民主化による経済復興」だ。財閥や大企業偏重の経済構造を変革しようとする朴氏を多くの国民が支持し、朴氏は大統領選に勝利した。
韓国経済はここ数年、すでに成長の限界に直面している。これまで韓国は、日本などの先進経済国を政府が主導して追撃をすることによって飛躍してきた。しかし今や韓国は、より創造性を発揮して競争を勝ち抜かなければならない段階にきている。ところが実際は、経済発展の過程で財閥や大企業に経済力が集中しすぎたことによって、硬直してしまっているのだ。
財閥グループは莫大な経済力によって政治的にも大きな力を得るようになった。現代やサムスンの会長が犯罪で起訴されたが、政府が「国家経済に貢献したことを勘案」して特別赦免になったのがいい例だ。
市場は「均等な経済活動の場」であってこそ新たな創意と革新が生まれ、高い競争力を生み出していく。しかしこのような「傾いた経済活動の場」では、経済は躍動性を喪失する。
だからこそ朴政権は、「経済民主化」のための政策を打ち出した。当然財界は猛反発し、「企業の経営活動を委縮させ、低迷した経済をさらに厳しくさせる」と批判した。
そして韓国政府はその後3月に、「経済非常事態」を宣布した。消費と投資・輸出がすべて後退し、失業率も増え、今年の成長率予測値が大幅に下方修正されたのだ。「経済民主化」を訴えた大統領選当時の雰囲気は影をひそめ、政府が大々的に市場に介入せざるを得なくなってしまった。朴氏の「経済民主化」は失敗に終わったのだ。
財界関係者は「政権スタート後に現実との乖離を悟ったようだ」と言い、「(政府の方針は)混乱を与えている」と批判している。
歴史問題を取り上げるのは歴代政権の繰り返しだ
思うように韓国経済を立ち直らせることができない朴政権は、政権基盤が弱く苦心している。そこへきて北の挑発である。経済再生の取り組みに冷や水を浴びせられた朴政権は、前述の「根負け」発言に至った。
その後北の脅威が減じたため、朴氏はオバマ氏に北に対する共闘姿勢を示すことができたが、朴氏の政権基盤の不安定さは何も変わっていない。その象徴が首脳会談における日本批判だ。
会談でオバマ氏が日米韓の協調の必要性に触れると、朴氏は「東北アジア地域の平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たなければいけない」と述べた。米国は一貫して、「日韓の歴史認識戦争には一切関与しない」という立場をとり、かつ東アジアの安定のためには日韓が協力体制をとるべきだと主張している。朴氏がこのことを知らないはずがない。それでもなおこの発言をしたのは、韓国内の政権基盤がいかに弱体化しているかを物語っているといっていい。
韓国では政権基盤が弱まると、大統領が反日的発言をする。それは朴政権においても何ら変わりはない。
東アジアの安全保障においては日韓の協力関係は不可欠である。日本側としては、こうした韓国内の情勢を踏まえつつ、注意深い対応が必要である。
2013年5月11日


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