この記事は2012年8月24日に投稿されました。
韓国の李明博大統領が竹島に上陸したことに端を発し、日韓関係は今や「負の連鎖」に入り始めている。しかし日韓両国において、お互いが経済的にも安全保障上でも非常に重要な隣国であることは間違いない。日本政府は、未来志向の日韓関係を築いていくための有効な取り組みを検討すべきだ。
日韓両国に深い溝をつくってしまった韓国大統領の軽率な行動は極めて遺憾だが、同時に日本の政府が竹島の問題に対してこれまで毅然とした態度をとってこなかったことにもその原因はある。政府はこれまで、「日韓関係の大局に立つ」ために、曖昧な態度をとってきたのだ。しかし日韓関係の未来を考えればこそ、政府は毅然として日本の立場を主張し、竹島問題の解決に向けて粘り強く交渉しなければならなかった。
具体的には、ICJ(国際司法裁判所)への共同提訴か、第三国(主に米国)による解決のいずれかしか方法はない。そして結論が出れば、両国ともにそれを冷静に受け入れ、そのうえで未来志向の関係を築いていけばいいのだ。
ICJによる判断を仰げ
ICJでは、紛争当事者の双方の合意がなければ裁判が開かれないが、もし韓国による合意が得られればどのような判断が下されることになるのだろうか。
竹島の領土問題における争点には、主に以下の三点がある。
① 誰が最初に発見し、実効支配をしたか(領土の権原)
② 1905年の日本による竹島編入は有効だったのか
③ 戦後のGHQによる竹島処分の解釈は
(GHQの覚書では、日本の領土や日本漁船の活動範囲から竹島は除外するとある。ただし「日本の領土を確定する最終的なものではない」との断り書きもある。)
これらの争点に関する日韓双方の主張を以下に簡潔にまとめよう。
韓国の主張では、①韓国最古の文献「三国史記」(1145年)に于山島の記述があるが、これが現在の獨島であり、最初に発見したのは韓国である。②1905年の日本政府による竹島編入は法的に不十分な手続きであり、秘密裏に行われたので非合法である。③カイロ宣言(1943年)では、「日本が暴力及び貪欲により略取した他の一切の地域」の排除を謳っている、などといっている。
これに対して日本の主張では、①韓国側の文献に現れる「于山島」には「86人の住民が生活している」とあるが、竹島には水がなく人の定住は困難で、他の島の可能性が高い。日本では、1618年に徳川幕府から出された「竹島渡海免許」の文書が残っている。②1905年の島根県への編入は国際法に則った適法な手続きがなされたものであり、新聞などでも報道されているので秘密裏に行われたとの指摘は当たらない。 ③竹島は、カイロ宣言の「略取した」地域にあたらない(それまでに韓国の領土だったという証拠がない)。韓国の主張は、覚書の断り書きを無視していて不合理であり、GHQ覚書1033号で除外された小笠原諸島、奄美大島、沖縄は後に日本に返還された、などといっている。
実際これまでのICJの判例を見れば、領土権を主張する根拠は、「国家権能が平穏かつ継続した表示」を基準に判定される場合が多い。ただし現在の韓国の軍事占領は、「平穏」には該当しない。また「国家権能の表示」に関して、「中世の根拠は近代的な他の根拠に置き換えられるべき」であり、歴史文書以上に、近代における国際法に基づく処置をより強い根拠としている。
日本政府は1905年、竹島であしか漁を営む国民個人からの領土編入貸下願を契機に、閣議決定をもって島根県への編入を決定した。
韓国では、この編入を「1910年から始まる日帝植民地支配の始まり」として抗議しているが、それまでに韓国が竹島を実効支配していたという記録はなく、「植民地支配」との指摘はあたらない。日本では、当時の資料に関して国有地台帳への登載、あしか漁業許可、 国有地使用料の継続徴収など国家占有の行為に関する記録が残っており、「近代的な根拠」として十分である。
それでは、竹島に対する米国の立場はどうなのか。李承晩ラインを1952年に設定し、竹島を1953年に実効支配した韓国は、米国に対してその領有権を繰り返し主張してきた。しかし米国は、1954年のヴァン・フリート特命報告書で次のように竹島に対する態度を明確にした。
A)一方的な領海宣言(李承晩ライン)は違法
B)米国政府はサンフランシスコ講和条約において竹島は日本領土であると結論している
C)この領土問題は国際司法裁判所を通じて解決されることが望まれる。
この特命報告書は、非公式に韓国側にも伝えられた。
ICJへの共同提訴が不可能であれば、第三国である米国による調停に取り組むという選択肢も当然考えられるのである。
未来志向の日韓関係に取り組め
日本はこれまで竹島問題へのICJへの提訴は韓国への配慮のために見送ってきたが、この態度が完全に裏目に出てしまっている。今こそ未来志向の日韓関係の構築のために、竹島問題の解決に粛々と取り組むべきである。
特に中国や北朝鮮の脅威が叫ばれる今、日本式の「配慮外交」は通用しない。今こそ政府は竹島問題に正面から向き合うべきである。
2012年8月24日


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