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「国家主権」と拉致問題・2 

思想新聞2004年3月15日号【視点論点】

「北朝鮮に拉致された日本人を
救出する全国協議会」会長
佐藤勝巳氏

拉致問題を我が事と受け止めよ
国会議員の大多数が支持

 一昨年の10月15日、5人の拉致被害者たちが日本に帰ってきた頃、間もなくして68才のお誕生日を迎えられた皇后陛下が、次のようなコメントをされた。
「小泉総理の北朝鮮訪問により、一連の拉致事件に関し、初めて真相が報道され、驚きと悲しみと共に無念さを覚えます。なぜ私たち、そして皆さんが自分たちの共同社会の出来事として、この人々の不在ををもっと強く意識し続けることができなかったのか、との思いを消すことができません。今回の帰国者と家族の再会を思うにつけ、今回帰ることのできなかった人々とその家族の気持ちは察するに余りあり、ひとしおの寂しさを覚えます」
 私はこのご発言を新聞報道で知ったとき、直観的に、皇后陛下がここまで踏み込んでのご発言に、左翼の連中が難クセをつけるのではないか、ととっさに思った。>>>
 しかしそれは幸いにも思い過ごしで、実際はどこからも苦情など来なかった。それどころか、多くの国民の共感を得ることになったのだ。
 ここで皇后陛下が言われたのは、誰彼が悪いというのではないはずだ。
 私たちが運動を始めた頃、誰一人振り向いてくれなかった。自分たちの共同社会に、この拉致の問題を、自分のこととしてしっかりと受け止めることができなかった、このことは何を意味するのであろうか。
 たぶん、北朝鮮に拉致された日本人は私たち関係者による推定では、百人を超えているだろうと見ている。
 金正日政権が、何らかの理由で、つまりは外圧がかかって、内部矛盾が激化して、軍部などに分裂が起きて、政権中枢にテロが発生する、そういうふうにして政権が倒れるというシナリオ、日本から拉致された人々が、百人以上も続々と帰ってくる、そうしたシナリオというものを、我々はごく最近まで、つまり一昨年の9月17日までは、誰もそんなことを考えることすらできなかった。
 ところが、我々が全く想像もしていないところで、同胞が拉致され、めぐみちゃんについて言うならば26年間、救出ができないで今日に至っている。そういう国家、そしてそういう政府とは一体何なのだ、ということが日々問われているのだろうと思う。

 先ほど横田(拓也)さんが、外為法改正の法案が通ったという話をした。しかし、法律は通ったとは言え、衆参両院の予算委員会での川口外相の答弁は、「選択肢はたくさんある方がいい」というものだが、「今、この法律を適用する意思はありません」と繰り返し答弁している。
 法律が通った2月9日、外務省の竹内政務次官は、そのことを記者会見でこう言っている。
「もし北朝鮮が日本に対して変なことをしたら、米国と韓国と協議をしてこの法律の発動を考える」と。
 私は今年75才になる。目も白内障の手術をしているような身である。だが、その遣り取りをベッドのテレビで見ていて、怒り心頭に達した。これでは、「裏切り」ではないかと。
 なぜか。そもそも、外為法の改正と特定船舶の入港禁止を定めた法がどういう経緯で今国会で論議されているのか、ということだ。
 私たちは昨年11月の総選挙の際、全国の衆院議員の候補者に対して、「拉致はテロか否か」などの質問を含むアンケートを実施した。
 このうち、「拉致はテロ」と認めたのが91%、但し書きを書いたものも含めると、99%がテロという認識だった。ではそのテロを解決するために外為法などの改正は必要と思うか否かというと、81%が、但し書きを含めると90%が必要という。
 さらに、北朝鮮の船舶の入港を規制することによって拉致問題を解決するという考えがあるや否やという問いには、78%の(当選した)国会議員が賛成するという答えが返ってきた。
(2月11日、建国記念の日国民集会における記念講演より、構成・文責=編集部)

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