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「70年談話」歴史の教訓を未来への知恵に

この記事は2015年8月17日に投稿されました。

安倍首相は8月14日、戦後70年談話を閣議決定し発表した。共同通信が14日、15日両日をかけて行った全国電話世論調査では、「評価する」が44.2%となり、「評価しない」の37.0%を上回っている。

韓国大統領一定の評価 中国の批判、抑制的に

懸念された中国、韓国の批判も抑制的であり、特に翌日の「8.15光復節」記念行事において、朴槿恵大統領は、「われわれとしては残念な部分が少なくないのは事実」とした上で、「日本の侵略と植民地支配が、アジアのさまざまな国と国民に苦痛を与えたことに対する謝罪と反省を根幹とした歴代内閣の立場は、今後も揺るがないと、国際社会に明確に示したことに注目する」と語り、談話に一定の評価を与えている。
 「70年談話」は周到に、緻密に練られた内容だった。そして可能なかぎり日本国民に幅広く受け入れられるようにと慎重に言葉が選ばれた。この点を高く評価したい。細谷雄一慶大教授が指摘するように(読売8月15日)、村山談話は国民のコンセンサスを作るという点では失敗だった。村山首相(当時)は1995年6月に、国会で先の大戦の総括する決議を衆議院で採択したが、野党だけでなく、与党からも多数の欠席者が出る結果となった。参議院での決議採択は強硬な反対によりできなかった。この挫折が同年8月の村山談話につながったのだ。「70年談話」が、日本の針路を拓く指針となるように期待したい。
 過去の首相談話と同じく、先の大戦を巡る「こころからのおわび」や「侵略」、「植民地支配」などの文言とともに、未来志向の表現も盛り込まれている。
 同日のNHKの番組で安倍首相は、先の大戦を巡る日本の行為について「侵略と評価される行為もあったと思う」と語った。談話では「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に決別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。先の大戦への深い悔悟の念とともに、我が国は、そう誓いました。(略)私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」と記された。
 「お詫び」に関する文言は以下のとおりである。「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省とお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。こうした歴代内閣の立場は、今後も揺るぎないものであります」
 朝日新聞は8月15日付社説で「極めて不十分な内容だった」と決めつけ、「主語はぼかされた」とし、大野博人・論説主幹は「間接的な言い方に終始」と批判した。しかしその批判は当たらない。侵略と植民地支配に関しては「我が国」と明記し、お詫びに関しても「我が国」と、主語を明確にして「今後も揺るぎない」と明言している。村山談話、小泉談話にある「私は」という表記は私的談話の印象が強く、閣議決定談話にふさわしい表記の方法ではないだろう。

過去の戦争は新秩序への挑戦 行き詰まりを「力の行使」で

注目すべき踏み込んだ内容もあった。かつて戦争に突き進んだ日本を「新しい秩序への挑戦者」と表現し、背景として1929年の世界恐慌を挙げ、「世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ経済ブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃をうけ」「その中で日本は孤立感を深め、外交的、経済的行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。(略)こうして、日本は世界の大勢を見失って」しまったことを挙げたのである。そして「私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます」と結んでいる。批判の声に「村山談話より後退した」との指摘があるが、「我が国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り」(村山談話)という、あいまいな表現よりさらに前進していると言えるだろう。
 さらに、慰安婦問題についても間接的に言及し「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはならない」と指摘した。
 「談話」には多く意味が込められている。読み解くべきことの一つは「力の行使」により外交的、経済的行き詰まりを解決しようとする勢力へのメッセージである。ロシアや「イスラム国」、なによりも中国である。2013年9月、米国・オバマ大統領が「世界の警察官辞退宣言」ともいえる演説を行ったことを契機に、中国による一方的防空識別圏が東シナ海上空に設置され、翌3月にはロシアによるクリミア半島併合、6月には「イスラム国」による一方的な新国家樹立宣言が行われ、さらに中国による南シナ海での人工島建設や東シナ海での領海侵犯行為や一方的なガス田開発がある。いずれも「力の行使」による現状変更に通じるものである。
 重要なことは、談話を踏まえて何をなすかである。先の世代に向け「謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」との記述がある。これは、日本は和解の努力を今後も続けなければならいという趣旨であろう。これから中国、韓国との首脳外交の本格化が予想される。安倍首相には、「歴史の教訓を未来への知恵として」新時代を切り拓いてもらいたい。
(国際勝共連合教宣局)

2015年8月17日

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