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米国防副長官発言で「毎日」の誇大ミスリード報道

思想新聞2003年12月1日号【マスコミ論壇ウオッチング】

 前回、当欄で扱った、民放テレビ各局の総選挙特番、ことに杜撰な出口調査に基づく番組づくりは、さすがに新聞各紙が問題にしたが、その論点は「なぜ間違ったか」に終始し、誤った予測に基づく政局論議が選挙結果、ことに「政権選択」を掲げて総選挙を戦いながら、それを果たし得なかった菅代表率いる新・民主党に善戦イメージというアドバンテージを与え、それが今後も深刻な影響を与え続けることになるという問題を論じたところはほとんどなかった。
 ところで誤った情報や予測に基づく報道といえば、自衛隊のイラク派遣問題について看過できない問題が生じている。
 ことの起こりは最近、アメリカの複数のテレビ局が「日本はイラク派遣を拒否した」という誤った前提に基づいてウルフォウィッツ国防副長官に質問し、「毎日新聞」によれば、同副長官が「日本が(軍事面で)多大な貢献をあてにできる国であったためしはない」(11月15日付夕刊)と答えたというのだ。
 しかし、夕刊とはいえ一面トップに、誤った前提への回答を載せた「毎日」の判断には驚くばかりだ。基本的な事実誤認を含む質問への回答は、目下その発言の主の動向と発言に全世界の注目が集まっているとはいえ、とても一面トップに据えるニュース価値があるとはいえまい。
「毎日」といえば、旧石器捏造問題暴露に続き、昨年、今年の二年連続で自衛隊の関連した情報管理をめぐる報道で新聞協会賞を受賞するなど調査報道の分野で元気だが、今回の報じ方は意図的な捏造でないとはいえ、誤った事実を前提とした質問への回答という、ほとんど価値のない発言をことさら大きく報じることで、読者を誤導するという結果を招きかねない。
 誤った前提に基づいて質問したキャスターや記者の不注意を指弾せず、その質問への回答の方を問題にするというのは、「現時点での自衛隊派遣には問題あり」と論じ、報じたいという意識の反映と判断されてもやむを得まい。

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