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「朝生」西尾発言に見る保守陣営の「アキレス腱」

思想新聞2002年7月15日【マスコミ論壇ウォッチング】

「冷戦終結」から10年余を経て欧米各国で問題化しているのは、「自由」や「人権」を守るため、共産主義や社会主義に対し一致団結して戦ってきた保守派の言論人たちが、「敵」を失ったことから、些細なことで内輪もめや、「国際派」か「自国第一主義」かという自国の外交スタンスの違いから思想的「内戦」を始めているということである。
 わが国について言えば、米国との協調を継続するか、自主独立の道を選択するかという議論がそれにあたるのではなかろうか。
 従来の歴史教科書に対する代替案として、画期的な「新しい歴史教科書」を編集・出版する運動を行ってきたグループ内で最近起こっている対立と分裂も、その不幸な例と言える。
 ところで6月28日、毎月末深夜恒例の『テレビ朝日』の「朝まで生テレビ」は、保守陣営で明確に対米自立、反中国の立場をとる石原慎太郎都知事の中央政界復帰について論じる「石原新慎太郎総理待望論は本物か?」というテーマだった。
 この問題は先の保守派内部の思想的「内戦」と深く関わっているだけに改めて取り上げるとして、この番組に出演した西尾幹二氏の態度には大いに落胆させられた。
 というのも、保守派として自由を守ろうとすれば、米韓両国と協調し北東アジアにおける北朝鮮の脅威と中国の膨張を阻止しなければならないにもかかわらず、西尾氏は韓国を蔑んだように「南朝鮮」と呼び、「南は急速に左傾化し、金大中大統領以上に容共的な盧武鉉氏が民主党の次期大統領候補に選ばれている」とエキセントリックに叫びつづけた。
 西尾氏の指摘した内容は、『産経新聞』の7月8日付朝刊の「正論」欄に掲載された韓国の有力誌『月刊朝鮮』の趙甲済編集長の分析で見事に裏づけられているだけに、味方をも敵にまわしかねない西尾氏の表現や、配慮を欠いた発言はなんとも残念だ。日本の言論界においてまだまだ脆弱な保守陣営には、対立や分裂に時間を費やしている暇はないはずだ。

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