この記事は2011年1月23日に記述されました。
宮城県は性犯罪防止に意欲的な取り組みを始めた。ひとつは児童ポルノの「単純所持」を禁止する条例作り、もうひとつは性犯罪前歴者に衛星利用測位システム(GPS)の常時携帯を義務付ける条例作りである。いずれも国がやるべきことだが、民主党政権は「人権」(もちろんエセ人権だ)を盾に法整備を怠ってきた。児童ポルノの「単純所持」を先進国で唯一容認する日本は「児童ポルノ発信基地」として世界から非難の的となってきた。ひとたびネットに流出すると、瞬く間に世界に広がり、2度と消せない。そのため犠牲となった少女や少年たちは将来にわたって心も身も引き裂かれる。だから世界では「最悪の児童虐待」と呼ばれている。それなのに日本政府は所持禁止に踏み切らない。児童ポルノも含め性犯罪は「魂の殺人」である。しかも再犯率がきわめて高い。被害女性の人権は踏みにじられ続けているのだ。国がやらないなら、地方自治体が性犯罪防止に乗り出すほかない。それが宮城県の試みである。条例は地域が限定され、刑罰も最高で2年以下の懲役、罰金100万円以下にすぎない。だが、それでも防止策を考えざるを得ない。こうした宮城県のチャレンジを県民のみならず国民が広く支持するだろう。だが、これを潰そうと人権主義者やメディアが全国から反対動員をかけつつある。防衛大学校出身で元陸上自衛官だった村井嘉浩知事にはぜひ、反対運動を蹴散らし性犯罪防止の条例制定にこぎつけてもらいたい。
児童ポルノの単純所持に処罰が必要だ
児童ポルノの単純所持禁止とは、子供が被写体のわいせつな画像や映像などの児童ポルノを個人が“趣味”で集め保管することを禁止することを指す。所持によって小児性愛者を増やし、刺激してそれが児童ポルノ事件を増加させ、やがて重大事件へと発展する。拳銃や覚醒剤の所持を禁止するのはそれが犯罪につながるからだが、それと同様なのが児童ポルノの単純所持だ。単純所持しているだけで罪に問うのは当たり前の話だ。それで大半の先進国は児童ポルノの単純所持を禁じてきた。ところが、わが国の児童買春・ポルノ禁止法は自己目的の所持(単純所持)を容認している。だから国際的な批判を浴びてきた。日本が児童ポルノをネット上に流出させる「世界的発信基地」(つまり犯罪基地)となっているからだ。実際、児童ポルノ事件は後を絶えない。2010年上半期に警察が摘発した児童ポルノ事件は599件(前年同期比63・2%増)、被害児童は295人(99・3%増)にのぼる。これは統計を取り始めた2000年以降で最多である。それも「摘発件数は氷山の一角にすぎない」(警察庁幹部)というのが実態だ。ところが民主党は単純所持禁止について「恣意的な捜査を招く」として取り組もうとしない。子供の権利や人権を主張しながら、子供を見殺しにする許されない欺瞞的態度である。
東京都は昨年12月、漫画やアニメに溢れている性犯罪行為や児童ポルノなどを規制する青少年健全育成改正条例を制定した。これは漫画やアニメの規制として評価できる。だが、当初案では「児童ポルノの根絶に向けた都の責務」を盛り込んでいたが、それが削除された。当初案は「都は児童ポルノを根絶すべきことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携し、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努める責務を有する」とし、「何人も児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する」と、児童ポルノ単純所持禁止を盛り込んでいたのだ。これもエセ人権主義者や民主党の反対で削られてしまった。奈良県は2005年に全国で初めて条例化し、単純所持禁止に違反した場合、30万円以下の罰金などが科せられると規定している。大阪府は今春来に青少年健全育成条例を改正し「子供の性的虐待の記録」という概念を設け、該当する写真・映像の製造、販売、単純所持をしないよう府民に求める。宮城県は昨年12月に有識者懇談会を設置し、今年3月末までに条例化の判断を下すとしている。
「魂の殺人」性犯罪は再犯率が高すぎる
さらに宮城県は1月22日、性犯罪の再犯の可能性が高いと判断した前歴者やドメスティックバイオレンス(DV)の加害者に対して、行動を警察が監視できるように衛星利用測位システム(GPS)の常時携帯を義務付ける条例制定の検討に入ったことを明らかにした。共同通信によると(1月22日付)、試案では必要に応じて性犯罪の逮捕者からDNAの提出も義務付け、県内で性犯罪が起きた際の容疑者特定に利用するという。条例が制定されれば全国初となり、県は性犯罪抑止の目玉政策としたい考えだとしている。これも国が不作為を続けている施策である。平成22年度版犯罪白書(昨年11月発表)は、2000年1~6月に出所した重大犯1021人の追跡調査を行ったところ、31・5%(322人)が09年末までに禁固刑以上の罪を再び犯しており、とりわけ性犯罪の前科のある強姦罪の出所者の再犯率は38%にのぼっているとしている。このことからも性犯罪の再犯率の高さは明白である。
09年4月に全国の警察本部に「子ども女性安全対策斑」が設置され、1千人体制で「つきまとい」や「声かけ」など性犯罪の前兆行為に目を光らせ、公然わいせつや痴漢行為で約1100人を検挙、約1200人に指導・警告を行ったが、それでも性犯罪は防ぎきれない。子供への性犯罪で服役した者の出所情報の提供制度が2004年の奈良女児殺害事件を受けて始められた。13歳未満の子供を対象にした強姦や強制わいせつなどの暴力的性犯罪者について出所予定日や帰住予定地などの情報を法務省から警察庁に提供されている。04年以降、5年間に740人の情報が提供されたが、このうち2割以上の167人が公然わいせつや窃盗などで再び検挙され、うち43人は13歳未満を対象にした暴力的性犯罪での検挙であった。例えば昨年5月、強姦強盗など5件の罪を重ねた被告(35)に横浜地裁は懲役23年の判決を下したが、同被告は過去に2度、強姦未遂事件などで服役し、仮出所後に再犯防止プログラムを受けていたが、その最中に犯行を重ねた。女性を襲った当日に医師と面談し、その1週間後にも強姦事件を引き起こしていたの。性犯罪の再犯率は05年に22%にのぼり、13歳未満対象では3人に1人(34%)という高さである。それで06年度から性犯罪服役者に再犯防止プログラムの受講が義務づけられたが、この被告で明らかなように効果は疑問である。
性犯罪の再犯防止へGPS装着を義務づけよ
つまり、わが国は性犯罪に甘すぎるのである。韓国は昨年6月、児童を対象とした性犯罪者に初犯再犯を問わず一律に薬物治療を行うことを決め、フランスは05年、仮釈放の性犯罪者にGPS(衛星利用測位システム)を備えた腕輪を装着させる累犯対策法を制定した。米国や英国、ドイツも同様の対応をしている。こうした制度をわが国も考慮すべきであるにもかかわらず、政府は放置してきた。それだけに宮城県の条例制定化の動きは犯罪防止への先駆けとなる。国がやらないなら全国の自治体からはじめようではないか。「魂の殺人」をこれ以上放置することはできない。
2011年1月23日


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