思想新聞 平成9年(1997年)3月25日号
Q–共産党が中国と仲違いしている背景は理解できました。鄧小平の中国は大国主義的でした。なによりも中越戦争を仕掛けた張本人です。ベトナムを持ち上げてきた共産党としては、鄧小平の中国を容認することはできないでしょう。しかし、江沢民の中国が変化すれば日中両共産党の関係もよくなる可能性はないのですか。
A–それはまずあり得ません。江沢民は鄧小平の後継者を任じているわけですから、路線を変える気などないでしょう。この三月に開催された全国人民代表大会(全人代)でも李鵬首相は「鄧小平同志によって創設された改革・開放と近代化建設の事業を引き続き前進させる」と宣言しています。仮に変化があっても、改革を前進させる方向なら日本共産党とはますます路線が違ってきます。逆に保守派の軍部が台頭しても、天安門事件を民主化弾圧と捉える日本共産党と関係がよくなるはずがありませんからね。
Q–ましてや毛沢東主義者が復活したら、ますます仲が悪くなるわけですね。ということは、日本共産党は中国とは永遠に関係がよくならないと考えてよいというわけですね。
A–その通りです。そもそも日本共産党と関係がよい国や共産党はまずありません。共産党が政権を握っている国ではベトナムぐらいですが、そのベトナムもドイモイ政策で中国のような改革路線を歩みつつあり、米越関係も随分と進展しました。ベトナムとしては日本共産党と付き合っているメリットがなくなってきているのです。疎遠になっていくのは目に見えています。北朝鮮労働党とは金日成時代から個人崇拝をめぐって関係が破綻、ロシア共産党に対しては大国主義的な民族主義政党として批判しています。

Q–北朝鮮を批判しているということですが、では韓国に対してはどうなのですか。
A–共産党はかつては北朝鮮を朝鮮民主主義人民共和国と正式名称で呼び、略する場合は「朝鮮」としていました。しかし両党関係が悪化して以来、「北朝鮮」と略するようになりました。ところが、韓国に対しては今も昔も変わりなく「南朝鮮」と呼び続けているのです。現在、韓国を南朝鮮などと呼ぶのは共産党と北朝鮮関係者ぐらいのものでしょう。その点はやはり、遅れているのです。
Q–ユーロコミュニズムもソ連崩壊後、分裂しています。イタリア共産党も91年に左右に分かれ、穏健派は共産党の名を捨てて左翼民主党を名乗っていますね。日本共産党もいよいよ孤立化してきているということですか。
A–いまどき日本共産党との関係を強めても何になるというのが実際のところでしょう。まず共産党は日米安保条約反対を掲げる反米政党ですが、反米など今日の世界では通用しません。欧州の共産党でも反米を唱えているのは極左派グループぐらいのものです。ベトナムすら反米を言いません。日本共産党の時代錯誤には他国の共産党すらついていけないのです。
Q–とすれば、こんな政党が政権を取れば、日本は世界から孤立化してしまうことになりますね。


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