この記事は2013年10月28日に投稿されました。
中国海軍が西太平洋海域で大規模な軍事演習を実施している。中国海軍には3艦隊あるが、すべての艦隊が参加する合同演習は初めてだ。中国メディアも、同海域での軍事演習としては過去最大規模と伝えている。3艦隊のうち2艦隊は沖縄県宮古島沖の公海を越えて、もう1艦隊は台湾南部のバシー海峡を越えて、西太平洋で合流した。
この軍事演習のため、26日には中国軍の軍用機4機が沖縄本島と宮古島の間の上空を通過した。自衛隊機がスクランブル発進したが、領空侵犯はなかったという。
中国の軍事攻勢が著しい。今年の5月には立て続けに3度、中国潜水艦が南西諸島の接続水域を潜航したまま通過した。浮上して国名を明らかにするのが通例であり、異例の挑発行為として問題になった。
その後の7月には、中国軍の早期警戒機1機が沖縄本島と宮古島の間の公海上空を通過した。中国にとっての対米防衛ラインである第1列島線を中国軍機が越えて飛行したのは初めてだった。海軍艦艇に続き、空でも第1列島線を越えた衝撃は相当のものだった。
第一列島線はすでに中国の支配下か
今回の件も含め、中国軍はすでに「第一列島線越え」を常態化させている。日本にとっては大変な脅威だ。第一列島線とは、九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを指す。中国軍は、このラインを海軍および空軍における作戦区域・対米国防ラインとしている。その経緯は次のようなものだ。
かつて中国の最高指導者の鄧小平は、1982年に、中国人民解放軍海軍の司令員である劉華清に、中国軍の近代化計画を作らせた。この中で、ソ連との関係改善が図られた中国は、次の課題を台湾問題とし、仮想敵国を米国に変えることを明言した。
中国が、台湾の奪取に本格的に取り組み始めたのだ。当然、それを妨害する最大の敵は米国だ。鄧小平は、いかにして中国が米国を抑え込めるのかを、具体的に検討させたのだ。
その際に、中国の作戦海域のラインとされたのが第一列島線だった。この内側で制海権をとれば、米軍は容易に空母や原子力潜水艦を侵入させられない。そうなれば行動がかなり制限される。台湾奪取のためには非常に有効な作戦だ。
軍事的に考えれば、島嶼線を天然の防波堤として利用することは極めて効果的だ。しかし中国があげた第一列島線のラインは、中国の領土・領海にはない。むしろ敵対する日本・台湾・フィリピン・インドネシアの領土であり、領海である。これを「自国の防波堤にする」というだ。このこと自体が、周辺諸国に対する暴挙であり、国際法に対する挑戦だ。
中国はこの作戦に基づき、着実に軍の近代化を進めてきた。今年に入り、次々と海軍や空軍が第一列島線を突破しているのは、その成果だといえる。
第二列島線を中国に渡すな
中国の次の狙いは第二列島線だ。第二列島線とは、伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインのことだ。ここまでの制海権を中国が確保すれば、台湾有事の際に、米海軍は部隊を増援することができない。そうなれば中国軍の勝利はかなり現実的だ。中国は、第二列島線を2020年までに完成させるといっている。
中国は第二列島線内の制海権の確保のために、海洋調査を頻繁に行っている。潜水艦の戦闘を優位にするためだ。しかし海洋調査は、他国の排他的経済水域内では行えない。だから中国は、第二列島線付近にある沖ノ鳥島は「日本の領土ではない」と言っている。
中国の軍事的脅威はもはや「遠い未来」の話ではない。太平洋が中国の海になれば、日本は中国に包囲されたも同然だ。日本の離島防衛、領海防衛にはまだまだ整備されていない点が多い。中国は、過去最大規模の軍事演習を太平洋で行っている。日本は、太平洋を守るための防衛力の強化を急ぐ必要がある。
2013年10月28日


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