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File-65 反グローバリズムの“標的”

思想新聞2002年10月1日号 共産主義は間違っている!!

●摩訶不思議な「人権真理教」国・ニッポン――19

ブッシュ戦略なくして小泉訪朝なし

有事法制反対は「拉致の奨励」

 前回の続きになりますが、反グローバリズム運動が終局的に反米主義に陥っていく過程で、

Q 反グローバリズム運動が結果として「反米主義」に収斂されるということですが、それと米国の戦略と日本の対北朝鮮外交とのかねあいはどうでしょうか。

冷静に情勢を分析すれば…

 はい。今回の小泉首相訪朝と平譲共同宣言を受けて内閣支持率が田中外相更迭以来大きく戻したことは、国民世論が拉致被害者家族の心情を汲み取った上で、日朝国交正常化交渉再開への流れを理解したからにほかなりません。これはちょうど昨年の9・11同時テロで敢然と「テロ撲滅のための戦い」へ踏み込んだブッシュ政権に対し、米国民の支持が大きくはねあがった現象にも比肩できるかもしれません。
 これはなにも、米国の国際戦略・政策を盲信しているわけではありません。もう少し冷静に考えて見ましょう。
 もしブッシュ政権がタカ派的外交戦略を取らなかったら、つまりクリントン政権の妥協的事なかれ主義が繰り返されたら、どうなっていたでしょう。タリバンは崩壊せず、新生アフガニスタンもありえず、日韓W杯でもテロが人々を恐怖のどん底に陥れたことでしょう。そうすれば、拉致問題に関して北朝鮮は永久にシラを切り続けたことでしょう。いずれにしても、これまで一方的に対話の席を蹴ってきた北朝鮮が、拉致の事実を認め謝罪を余儀なくされるところまで追い詰められたということなのです。
 ですから、佐藤勝巳氏ら北朝鮮問題の専門家が口をそろえて言うように、対北朝鮮外交は強く出ないといけない、ということなのです。
 今回の電撃的な日朝首脳会談の実現も、朝決して日本政府のスタンドプレーだけでは実現不可能な話だったというわけです。つまりブッシュ米政権の強力なサポートなしには、まず実現しなかった事態と言えるでしょう。この点を、ぜひ押さえておく必要があるでしょう。事実、北朝鮮側も安全保障問題に関しては米国の出方が気になって仕方がない、というか死活問題なのです。
 ところが、それにもかかわらず、懲りずにと言うべきか何と言うべきか、「有事法制反対」を叫ぶ動きが街頭で時折見かけられます。けれども、拉致問題こそ「主権侵害」の典型であって、まさに「有事」の状態と言えます。戦後長らくタブー視されてきた国防論議が、ようやくその呪縛から解き放たれようとしている最中に、それを逆撫でするのは、時代に逆行するアナクロニズムとしかいいようがありません。「有事法制反対」というのは、いわば拉致犠牲者の家族にむち打ち、「もっと拉致してください」「主権侵害してください」と言っていることと同じだ、ということをまずもって知るべきでしょう。
 この現実をふまえれば、いたずらな「反米主義」がいかに国民・世論をミスリードしてしまう危険性があるか、わかっていただけるでしょう。

制約の原理が欠如した博愛主義

 ところで、先に述べたジャック・アタリ氏の「博愛としてのユートピア」論は、「たまごっち」なども登場してきて、巧みに社会・経済情勢を把握しているような趣きも感じさせます。ところが、「反グローバリズム」の理論的骨子ともいうべき「博愛至上主義」が、インターネットというITインフラを「ネットワーク構築」によって大いに発展するだろう、と同氏は「予見」しています。
 しかしながら、そもそも「インターネット」という存在そのものが「グローバリゼーション」の典型的シンボルなのです。アタリ氏はその事実を完璧に失念している(というか無視している)のです。
 これは具体的に言うと例えば、さながらさんざんどっぷりと電力の恩恵を享受しながら、原発反対ばかり叫ぶ人々のようです。つまり、原則性がない、恣意的であることにほかなりません。これだけでも「反グローバリズム=博愛主義」の論理的破綻が明らかです。
 また、「他者への配慮」ということもアタリ氏の「博愛主義」のキーポイントの一つとなっています。ところが、これは裏返せば「テロリストへの配慮」にもなることを指摘せねばなりません。何が問題なのでしょう。ルールがない、つまり「制約の原理」の欠如した体系にほかなりません。

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