子供の6割が崩壊家庭に生まれ、124万人が婚外出生
思想新聞2001年5月15日号 シリーズQ&A 共産主義は間違っている
フェミニズムの仮面を被ったマルクス主義 17
詳細なヘリテージ財団の報告
反面教師でしかない社会福祉政策
Q スウェーデンの家族制度崩壊と社会的苦悩がよくわかりました。それにしても、スウェーデン政府は、このような現状を改善するために何らかの対策を講じているのですか。
A はい。前出の武田龍夫・北欧協会理事の報告にあるように、社会福祉制度の改革を、長期的視野から行っているようです。その結果、税負担や「家庭崩壊」への公的支出は減少に転じてきました。つまり、「大きな政府」から「小さな政府」へと舵を取り直してきている、と言えます。だからこそ、武田氏は「モデル福祉国家としてのスウェーデンの歴史的役割は終わった」と断じているわけです。その意味で、「スウェーデンのケースは反面教師にしかなりませんよ」と訴えているのです。
現在は行われていない政府発表統計
Q わかりました。さて、スウェーデンは結婚したカップルの半数が離婚という状況でしたが、今度は、それを凌ぐ高い離婚率に悩む米国の家族社会の状況について教えてください。
A これについては、米国のヘリテージ財団が政治家向けに出した解説書『イシューズ』が詳細に報告しています。とりわけ、1998年版の元米国厚生省事務次官補のパトリック・フェイガン氏による「家庭の崩壊 ~子供と米国社会への影響~」という報告(第6章)が的確に問題を捉えています。
「家族とは、社会の最も基本的な単位である。子供の人格、倫理観、責任感、能力、智恵などを育むところが家庭なのである。これは何も新しい話ではない。ところが、今日の米国において、家庭は崩壊の一途をたどり、政治家や学者、メディアから家庭は軽視されてきた。知らぬ間に潜行するこの腐蝕は、(以下のような)深刻な結果をもたらしている。
●1950年には、誕生する子供100人中12人は崩壊した家庭に生まれた。今日、100人中60人は崩壊家庭に生まれている。毎年、約100万人の子供が両親の離婚を経験しており、125万人が結婚外出生であり、140人が中絶されている。児童虐待も増加、児童性的虐待も急増している。
●一言でいうと、米国人は文字通り、子供に背を向けている。しかし、苦しんでいるのは、子供だけではなく大人も同様である。調査によると、離婚経験者は寿命が短く、肉体的・精神的にも貧弱であり、生活水準も低いという傾向が明らかにされている」
これは「フェイガン報告」の「緒論」と呼べるものですが、留意すべき点があります。「新生児の六割が崩壊家庭から生まれた」とありますが、表現のややこしさの背景についてです。先ほど「スウェーデンを凌ぐ離婚率」とありましたが、直接的に離婚率はどれくらいという全米的統計が、もはやできなくなっているのです。これについてフェイガン氏は次のように報告しています。
「このような米国の家庭を襲う問題に注意を払う人もいた。保守的な社会科学者たちは、生涯、結婚を守り通した家庭では、犯罪・麻薬常用癖・虐待・病気・低学力などの発生率が低いことを明らかにしてきた。しかし、そのような相関関係を調べる上で様々な問題が生じている。なぜなら、結婚、離婚、その子供への影響に関する政府発表の統計がめっきり減ってきたからである。
実際、半数以上の州で結婚、離婚に関する統計調査はすでに行われていない(国立健康統計センターによると、27州においては結婚と離婚に関する正確なデータを集めることが不可能な状態である)。信頼できるデータの不足が、将来の米国の家庭の行方を見定めることを困難にしている」


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