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まず9条論議から始めよ

思想新聞 1999年7月15日号 主張

 衆院本会議は衆院に憲法調査会を設置するための国会法改正案を共産党と社民党を除く与野党4党の賛成多数で採択、参院に送付した。これによって今国会で憲法調査会が設置されることが確実となった。現行憲法をタブー視せず、21世紀に向けていかなる憲法が相応しいか、積極的な国会論議を期待したい。

 憲法調査会の議論にタブー設けるな

 我々は国会における憲法論議は本来、議案提出権を持つ常任委員会として「憲法委員会」を設置し、そこで行うべきだと主張してきた。その意味では、議案提出権をもたない調査会ではもの足らない感を否めない。とはいえ、現行憲法を金科玉条とし論議すること自体も「改憲論」と決めつけてタブー視してきたことを考えれば、一歩前進と歓迎したい。
 憲法調査会は論議にタブー項目を設けるべきではない。共産党と社民党はもとより、民主党や公明党のなかにも「憲法論議が9条の改正につながりかねない」との懸念の声があると伝えられる。だが、こうした態度はせっかくの憲法調査会をいびつな存在に落としかねない。
 そもそも憲法論議は9条論議から始めるべきではないか。9条問題こそ戦後の憲法論議の中心であり、ここから逃避した憲法論議などあり得まい。ましてや今国会で新ガイドライン関連法が成立し、周辺事態への対応が決められた。これを足場に本来の日本有事への対応にどう取り組むかが、今後の国会論議の焦点になる。
 さきほど民主党は安全保障基本政策を決定したが、その中には日本有事の際の「緊急事態法制」が盛り込まれている。はたして現在の9条解釈で「緊急事態」に対応できるのか検討せざるを得まい。
 北朝鮮がテポドン・ミサイルの再発射を企てようとしているなど、北東アジアの平和と安全は揺らいでいる。また、コソボ紛争など民族・宗教対立が絶えない世界の中にあって国連の安全保障策に日本がどう関わっていくのか。国連安全保障理事会の常任理事国入りを表明している日本としては、明確な態度表明が迫られている。
 このような内外の安全保障問題で避けて通れないのは、集団的自衛権についてであろう。
 集団的自衛権は国家の固有の権利として国連憲章第51条で明確にその行使権が認められている。ところが現在の政府見解では、集団的自衛権は保有しているが、その行使は憲法違反としている。この解釈に基づいて「国連軍参加は憲法や自衛隊法上許されない」との立場に立っているが、国連憲章にもないこのような非常識な解釈では、国際貢献などおぼつかないのではないだろうか。

 集団的自衛権行使論議は避けられず

 昨秋、自自連合の基本的合意事項の中に、小沢自由党首の提案していた「国連総会または安保理で国連平和活動に関する決議が行われた場合、国連の要請に従い、参加する」というものがある。この点について小沢党首は「これはこれまでの政府の憲法解釈を変えるということ」と明言している。
 だが、はたして憲法解釈ですませてよいのか。9条をきちんと改正して国際社会に通用する国際貢献国家を創建すべきではないのか。憲法調査会はこうした根本的問題を議論すべきであろう。
 誰が考えても9条は問題条項である。自衛権保持と国民の国防義務を明文化すべきとの議論もある。せっかくの憲法調査会設置である。まず9条問題を論議してこそ、国民の信頼が得られるであろう。

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