思想新聞 1999年2月15日号 主張
世紀末を超えて、来るべき21世紀に世界平和をどう実現するか、人類は現在、大きな転換期に立たされている。それゆえに今に生きるわれわれの世代は英知を結集して未来へのビジョンを作り上げていく責任が在ると言えよう。
ボーダレス化する平和を脅かす要因
世界平和を脅かす要因は多岐にわたっているが、いずれもがボーダレス化して地球的規模に拡大しているのが特徴である。
第一には、地域紛争が世界の約140カ所で発生している。それらは領土・国境紛争をはじめ、宗教対立、少数民族問題など多くの分野に及んでいる。
第二には、核拡散やミサイル開発など安全保障を脅かす新たな軍拡競争が始まっている。昨年春の印パ両国の核実験や、イラクや北朝鮮による大量破壊兵器開発疑惑などがそれだ。
第三には、世界がひとつの市場へと移行しつつあるなかで、健全な市場を形成するルールや倫理基盤が希薄で金融危機がもたらされている。
第四には、食糧エネルギー危機が迫っている。人口爆発が続いているのに耕作地は減少し、食糧増産が困難だ。途上国の著しい工業化によってエネルギー消費も急増、食糧エネルギー危機が遠からず襲う。
第五には、地球環境の破壊が進んでいる。森林破壊や酸性雨、オゾン層破壊、海洋汚染などによって地球環境は著しく脅かされており、事態は深刻だ。
第六には、エイズをはじめとする新たな感染症が広がっている。エイズ患者は200万人、感染者は2,000万人を超え、アジアやアフリカで猛威を振い新種の感染症も出現している。
第七には、犯罪の急増および国際化が進んでいる。共産主義から解放されたロシアでのマフィアの台頭や世界的な麻薬ネットワーク、あるいはインターネットを使った新たな犯罪などが急増している。
第八には、家族の崩壊が進行している。離婚の増大や夫婦愛の希薄化によって、いわゆる家庭の教育力が低下し、多くの子供達が家族愛を十分に受けないままに成人し、それが犯罪社会の温床になっている。
いうまでもなく、世界的な危機への対応としては国連があり、世界の多くの人々も国連に大きな期待を寄せている。
だが、かつて国連事務総長のダク・ハマーショルドは、国連の限界と苦悩を次のように語った。「国連がつくられたのは、人類を地獄に落とさないようにするためにであって、天国につれて行くためにではない」と。
故・久保木本連合会長は、「地球規模で到来している危機が国家の枠組みを越えてボーダレスで襲ってきているにもかかわらず、国連(国際連合=United Nations)はその名が示すとおり国家の集まりであるがゆえに、自らの枠組みを越える複雑な問題に十分に対応できないでいる」と指摘し、カントが『永遠平和のために』のなかで模索した哲学的価値観を共有する国際組織の必要性を強調してきた。
宗教者による新たなパラダイム必要
カントのこの著作はフランス革命直後に書かれたものだが、それから200年を経て、まさに世界はそうした新たなパラダイム(知的枠組み)を求めていると言えよう。
そうした中で、さる2月4日からソウルで開催された99世界文化体育大典で、文鮮明・世界平和連合総裁は国連に宗教指導者や文化人、教育者らで構成する「宗教議会」の設置を提唱したことは注目されよう。
21世紀を目前に控えて、われわれは真の世界平和の樹立をあくまでも追求していきたい。


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